港町に残る築109年青い屋根の木造駅舎 まもなく解体へ 山陰本線 久手駅(島根県大田市)
京都駅を起点に、京都府・兵庫県・鳥取県・島根県・山口県の日本海側を走って下関駅の一駅手前・幡生駅に至る山陰本線。全線に渡って多くの木造駅舎が残る路線だが、近年は少しずつ建て替えが進んでいる。JR西日本米子支社(現:山陰支社)は令和2(2020)年、一日平均乗降客数三千人以下で駅舎が築60年以上の駅を対象に簡素化を行う方針を示しており、既に荘原駅(出雲市)、江南駅(同)、西浜田駅(浜田市)などが建て替えられた。また、浦安駅(琴浦町)の建て替えが決定しており、早ければ今月中にも見納めとなる予定である。そしてこの度、大田市にある久手駅が建て替えられることが新たにわかった。
久手駅は大正4(1915)年7月11日開業。駅舎は開業時のもので、今年で築109年だ。駅があるのは昭和29(1954)年1月1日の大田市成立まで存在した旧:安濃郡久手町の中心で、海と線路に挟まれる形で市街地が形成されている。
駅舎の旧事務室部分は改装されて「あけぼの会館」という集会所になっている。島根県内の木造駅舎は集会所として使用されているものが多く、波根駅、静間駅、下府駅などでも見られる。駅舎内にはトイレが増築されており、平成になってから集会所として改装した際に増築されたものと思われる。
ホームは元は島式だったが、駅舎側の線路を撤去して棒線化している。ホーム上の待合室は旅客サービス向上を目的として昭和12(1937)年に建てられたものだったが、現在は撤去されている。
駅舎の解体工事は9月上旬から行われる予定で、トイレはそれに先駆けて8月16日より使用停止となる。新駅舎の詳細は不明だが、他駅の事例から考えてかなり規模が小さくなるであろうことは想像に難くない。青い屋根の木造駅舎の姿を目に焼き付けておきたい方は今月中に行っておいた方がよいだろう。ただし、山陰もそれなりに暑いのでくれぐれも熱中症には気を付けていただきたい。
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