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「平成の開幕投手たち」星野と涌井は9度、上原は7年連続。継続中の最長は虎のエース

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、戎信行、星野伸之、イチロー Feb 28 1999(写真:ロイター/アフロ)

 3月29日に先発予定の12投手を含め、平成の開幕投手は159人(延べ372人)に上る。球団ごとの平成最多は、リストのとおり。ヤクルト/東京ヤクルトスワローズでは、石川雅規が開幕投手を8度務めた。

筆者作成
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 ただ、これは平成最多ではない。最も多いのは、星野伸之涌井秀章(現・千葉ロッテマリーンズ)の9度だ。星野はオリックス・ブレーブス/ブルーウェーブの7度に加え、阪神タイガースでも2度。涌井は埼玉西武ライオンズで5度、千葉ロッテで4度、開幕戦の先発マウンドに上がった。星野は昭和60年(1985年)に一軍デビューを果たし、平成2年(1990年)に初めて開幕投手を任された。上の写真は、平成11年(1999年)にシアトル・マリナーズのスプリング・トレーニングに参加した時のものだ。星野はこの翌年から阪神で投げ、イチローはこの翌々年にマリナーズからメジャーデビューした。

 石川雅と涌井は現役だが、東京ヤクルトと千葉ロッテでは、平成最後の開幕投手として小川泰弘石川歩がそれぞれ指名されている。3月23日のオープン戦に投げた石川雅は開幕2戦目(3月30日)、3月26日にイースタン・リーグで投げた涌井は4戦目(4月2日)がシーズン初登板になりそうだ。

 また、平成に2球団で開幕投手は、星野と涌井の他にも8人いる(3球団以上は皆無)。今シーズン、岸孝之(東北楽天ゴールデンイーグルス)が予定どおりに開幕戦で投げれば、11人目となる。岸は平成25~26年(2013~14年)に、埼玉西武ライオンズで開幕投手を務めた。

 一方、開幕投手のストリークは、上原浩治(読売ジャイアンツ)の7年連続が平成最長だ。同じく平成12年(2000年)に初めて開幕投手を務めた松坂大輔(当時・西武、現・中日ドラゴンズ)より1年長く、開幕戦の先発マウンドに上がり続けた。2人とも、ストリークが途切れた理由はメジャーリーグ移籍ではない。平成19年(2007年)の上原は、両足の相次ぐ故障で1ヵ月出遅れた。平成18年(2006年)の松坂は、WBCで痛めた首の状態が思わしくなく、シーズン初登板は開幕5戦目までずれ込んだ。4月末に復帰した上原は、チーム事情からクローザーを務め、このシーズンは一度も先発しなかった。

 継続中では、涌井とランディ・メッセンジャー(阪神)の4年連続が最も長いが、2人の「併走」はまもなく終わる。今シーズン、涌井は開幕戦には投げず、メッセンジャーはストリークを5年連続に伸ばす。対照的に、北海道日本ハムファイターズでは、ここ4年とも違う投手が開幕戦に先発する。大谷翔平(現ロサンゼルス・エンジェルス)、有原航平ブライアン・ロドリゲス、そして、今シーズンは上沢直之だ。

 

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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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