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マリナーズに引退→コーチを打診された選手が、エンジェルスで昇格してタイムリー・ヒットを打つ

宇根夏樹ベースボール・ライター
コール・タッカー(ロサンゼルス・エンジェルス)Apr 29, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 4月29日、ロサンゼルス・エンジェルスは、外野手のアーロン・ヒックスをDFAとし、リリーフ投手のザック・クリストファックをAAAに戻し、内外野を守るコール・タッカーとリリーフ投手のデービス・ダニエルをAAAから昇格させた。野手と投手という点からすると、ヒックスとタッカー、クリストファックとダニエルを入れ替えた格好だ。

 今シーズン、ヒックスの打率と出塁率は.140(57打数8安打)と.222に過ぎず、長打はホームランが1本しかなかった。外野には、マイク・トラウトテイラー・ウォードに、ジョー・アデルミッキー・モニアックがいる。アデルは守備に不安があり、モニアックは打撃不振ながら、人数は足りている。

 一方、内野は、アンソニー・レンドーンマイケル・ステファニックが離脱中。それに加え、ミゲル・サノーは左膝を痛め、故障者リストには入っていないものの、ここ3試合とも欠場している。

 タッカーは、10年前のドラフト全体24位だ。これまでは、2019~23年の計159試合で打率.216と出塁率.266、5本塁打。プロ入り後に最も注目されたのは、婚約した時かもしれない。タッカーの妻は、「ハイスクール・ミュージカル」でヒロインを演じたヴァネッサ・ハジェンズだ。

 まだ27歳ながら、タッカーは、ジ・アスレティックのサム・ブラムやMLB.comのレット・ボーリンジャーによると、今年3月にシアトル・マリナーズから解雇される――あるいは退団する――前に、コーチになることを打診されたという。

 それを断り、エンジェルスとマイナーリーグ契約を交わしたタッカーは、AAAの10試合で打率.313(32打数10安打)と出塁率.439を記録し――長打はホームラン1本と二塁打2本――昇格当日の試合でも、同点に追いつくタイムリー・ヒットを打った。

 これまでのキャリアからすると、今後も打てるかどうかには疑問符がつく。ただ、4月29日は、ロン・ワシントン監督の誕生日だった。タッカーは、エンジェルスの連敗を4で止め、72歳となったワシントン監督に白星をプレゼントするのに、一役買った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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