なぜ藤浪晋太郎は2カ月で人気者になったのか──現地で聞いた「フジは知的な選手」の背景とは
メジャー1年目の藤浪晋太郎が、オリオールズのア・リーグ東地区優勝に貢献する活躍を見せた。10月7日から始まる地区シリーズではレンジャーズとの対戦に臨む。 藤浪が7月にアスレチックスからトレードで移籍して2カ月。チームメイトからは、29歳の右腕が人気者になっているという声も聞かれる。その真相を確かめるべく、同僚や球団関係者、そして本人に現地で話を聞いた。新天地で躍動する藤浪の姿とは──。(取材・文:杉浦大介/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
同僚が証言「フジが人気者になるのは当然」
「オラ、カノー、コモエスタ!」(=スペイン語で「こんにちは、カノ。元気ですか?」) 藤浪晋太郎がオリオールズに移籍してしばらくたった頃、リリーフ投手のヤニエル・カノは突然、スペイン語で挨拶されたという。前日、藤浪に日本語を習ったお返しにスペイン語の挨拶を教えたばかり。そのフレーズをすぐに使ってきたのを聞いて、驚いたのだとか。 「フジはこれまでに会った中で最高級に知的な選手だ。英語もすぐに覚えるし、スペイン語で何かを教えても簡単には忘れない。彼はよくしゃべるほうだと思うけど、ただのおしゃべりというより、ジョークを言うのが好きで、学ぶことが好きというほうが適切なんじゃないかな」 そう感じているのはカノだけではないようだ。 中継ぎ要員のジェイコブ・ウェブが「フジは一緒にいても楽しい」と言えば、ブルペンでは最も仲がいいというダニー・クーロムも「本当にいい奴。一緒にいると楽しいんだよ。いいピッチャーだし、いいチームメイトでもあるから、人気者になるのは当然だ」と述べる。
オリオールズの若きスーパースターで、藤浪ともバッテリーを組むアドリー・ラッチマン捕手にいたっては、最大級と思える称賛を送った。 「フジはいつでもとてもポジティブで、クラブハウスでも活力にあふれている。彼がチームに来てくれて最高だよ」 藤浪がアスレチックスからオリオールズに移籍し、まだ2カ月強。それにもかかわらず、短期間にこれほどの“人気者”になった要因はどこにあるのか。その背景として、明るい性格だけではなく、オリオールズに移って以降、中継ぎ投手として上質な結果を残していることが大きいに違いない。