見解各地域で教員採用試験の倍率が過去最低を記録しているが、その背景には過重労働があるのは間違いない。 2022年度に全国の公立小中学校で働く教員の4778人が精神疾患で休職しており、ますます過労やハラスメントなどで病気になる教員が増えている。しかし、直近のデータである2021年度に「義務教育学校職員」で精神疾患や脳・心臓疾患などで労災と認定されたのはわずか17人と、極めてごく一部しか労災と認定されていない。つまり、教員の多くが実際には仕事が原因であるにも関わらず「死傷病」として扱われてしまっている。 福岡県に限って言っても過去に複数件の教員の過労死が起こっており、それらの反省が現場での過労状態を改善することにつながっていない。今回の訴訟を受けて、市や県は遺族への謝罪や賠償を行うことを通じて、長時間労働やハラスメントの防止に向けた実効的な対策を講じるべきだろう。
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コメンテータープロフィール
NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。
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