見解静岡県立大学の中澤秀一氏の研究によって、コロナ禍前までは、最低賃金1500円で「普通の暮らし」ができることがわかっていた。この調査では全国各地で実際に生活に必要となる費目を細かに調査しているため、信用度が高い。地方では車が生活に必須であることなど、具体的な状況を明らかにしたことで、都市と地方で生計費に大きな差はなく、全国一律で1500円が必要だと示された点も大きい。 ところが、直近のインフレはこの1500円というラインでも普通の生活を困難にしている。単純に物価が上がったことで、普通の暮らしのために必要な金額が増加しているからだ。海外に目を転じれば、最低賃金は日本よりもずっと急激に上がり続けている。最近まで都市部で時給15ドルを実現しようとしていたアメリカでは、すでに20ドルに迫る地域も出てきている。 日本の上がり方はまだまだ不十分だと言わざるをえない。
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コメンテータープロフィール
NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。
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