【今日は韓国の何の日?】1月7日 1926年「朝鮮総督府、新庁舎に移転」 現地で嫌がられた”仕掛け”
日本統治下の1926年1月7日、朝鮮総督府がソウル市内の景福宮前方に建てられた新庁舎に移転した。
それまでは市内の南山(ナムサン)の麓に位置していたが、1915年冬に移転工事を開始。10年を経て新庁舎が完成した。
- サムネイル右手に写っているのが朝鮮総督府庁舎
移転の背景について、2010年1月6日付けの「朝鮮日報」はこう記している。
「日帝は1915年に韓国占領5周年を記念し、植民当地の成果を内外に広く知らせるという口実で、今日の産業博覧会に該当する『朝鮮物産振興会』を景福宮で開催した。この時すでに総督府の新庁舎をこの地に建てる計画が立てられていた」
朝鮮物産振興会は1915年に50日に渡り行われた大イベントだった。景福宮はすでにこのために改造されており、その跡地(景福宮の前方)で朝鮮総督府新庁舎の工事が始まったのだ。
同紙はまた
「朝鮮王朝の正宮である景福宮が持つシンボル性、文化的な意味を十分に考慮した決定だった」
とも記す。
当時の朝鮮の人々にとって思いの強い地が、統治の本拠地となったのだ。
「朝鮮日報」はさらに、新朝鮮総督府庁舎が建つ前のある点を掘り下げて報じた。当時の人々は「朝鮮物産振興会」から始まる景福宮の工事に際し、日本側が植えたある植物に強い違和感を覚えたという。
「芝生」だ。
- 朝鮮総督庁舎。韓国教育チャンネル「EBS」より。確かに手前に芝生と思しきものが植えられている
現代の韓国では一般的に「チャンディ」という固有語が使われるが、古くは「莎草(サチョ)」という漢字語も使われてきた。同紙が続ける。
「この『莎(サ)』の文字が『死(サ)』を連想させ、不吉なものとされてきた。(同じ『サ』の音である)4を嫌い、4階をFと記すエレベーターは多いし、3階の次を5階にする建物も少なくない。『莎草(サチョ)』とはつまり死を連想させるもののため、墓の周辺に植えるものだった。伝統的に家の庭などには植えられてこなかった」
同紙は「朝鮮王朝の死を認識させるためのものだった」と記している。朝鮮総督府は当時の朝鮮で影響力の強かった「風水の流れを建つ立地」でも知られてきたが、「芝生」にもまた、当時の人々が感じるところがあったのだ。「朝鮮物産振興会」には50日でじつに160万人(当時の朝鮮半島の人口の約10%)が訪れた。しっかりとこの芝生が印象付けられたのち、跡地に建てられたのが統治の象徴である朝鮮総督府だったのだ。
現在は考え方も変わり、韓国でも芝生は一般的によいイメージで植えられている。建物は1945年の日本からの解放後も残され、1995年に解体されるまで国会議事堂、中央庁、国立中央博物館として利用されていた。
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