【今日は韓国の何の日?】1月4日 南北朝鮮の緊張感を描いた「往年の名作」 ソウルで観客動員記録を更新
2001年1月4日、韓国映画「共同警備区域JSA」(邦題「JSA」)がソウルでの当時の観客動員記録245万人を記録した。
南北朝鮮の共同警備区域JSAで、ふとしたきっかけから禁断の友情を育むことになった南北兵士のストーリー。主演のソン・ガンホが北の兵士、イ・ビョンホンが南(韓国陸軍国連司令部)の兵士を演じた。後に「宮廷女官チャングムの誓い」で知られるイ・ヨンエも韓国系スイス人の軍事法務担当者として出演した。監督はパク・チャノク。
- JSAのメイキング映像。同作制作会社「ミョンフィルム」公式アカウントより
2000年9月9日に公開され、10日後にソウルでの観客100万人、47日にして200万人を突破するなどの好調ぶりだった。1月4日、それまで記録を有していた「シュリ」(1999年公開)の244万人を抜き、245万人の新記録(当時)を達成。「韓国経済」などがこれを報じた。同紙はヒットの背景をこう評している。
「しっかりとしたシナリオ、俳優たちの好演、作品性と楽しさを備えた高い完成度に、徹底した企画力とマーケティング力が加わった結果と分析できる。ここに折よく吹いた南北和解ムードの巡風も一役買った」
2000年6月には韓国の金大中大統領と北朝鮮の金正日国防委員長が平壌で史上初の南北首脳会談を行っていた。
- KBSもきょうのニュースで「当時の記録更新」を報じた
韓国映画市場で最高の興行記録を打ち立てた「JSA」は2000年末に日本での上映が決定。後に韓国映画輸出単価最高記録を作った。また、第51回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門ノミネート作にもなった。
後にこの「ソウルでの観客動員245万」の記録は、同年3月の「友へ チング」にあっさりと抜かれる。また「JSA」は韓国全体では583万人を動員したが、これは現在のランキングでベスト50にも入らない水準だ。
しかし、「シュリ」とソウル首都圏での動員記録を競い、1位になったという点が興味深い。当時、200万を超えたのはこの2作だけだった。
ふたつの作品は、2000年前後に日本でも「初期の韓流映画」としてインパクトを与えた作品でもある。共通のテーマは「南北朝鮮の緊張感」「国境地帯を巡るスリル」だった。
韓国では昔でも今でも「世界進出の第一歩は日本」という考え方が社会全体にあるが、それにあたり、韓国映画界が初期に打ち出せる最高のコンテンツは「南北朝鮮モノ」だったのだ。当時の南北融和ムードでそれまでタブー視されていた北朝鮮のことを描きやすくなった背景もある。
そこから20年——日本でコロナ時代に「第4次韓流ブーム」が起きた。その”仕掛け役”も同じく南北朝鮮をテーマにした「愛の不時着」(2020年)だった。映画とドラマは違うものではあるが、同作では南北国境線を超え、北朝鮮内部の村や平壌市内を描いて大好評を得た。当時は「国境線止まり」だったのに。時代は進んでいるものだ。
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