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K-POP新アルバム収録曲に「Woke Up In Tokyo」 歌詞に日本語も

YG ENTERTAINMENT

ああ、こんな場所で日本語が聞こえてくるんだ。嬉しい。

韓国の地でそんなことを感じることがあった。

11月1日にソウルの合井(ハプチョン)で行われた、7人組ガールズグループBABY MONSTERの記者会見に出席した際のことだ。この日公開された新アルバム「DRIP」について、本人たちの思いを聞く機会だった。

会見全体の要旨はこちら(韓国トレンド研究所)

BABY MONSTERは2024年4月に正式デビュー。大手K-POPグループYGが7年ぶりに手掛けるガールズグループで、韓国・日本・タイのメンバーで構成される多国籍グループでもある。

11月にリリースされた「DRIP」は、K-POPのなかでもかなり強い勢いを見せているHIP-HOP系の曲が多いアルバム。会見は1曲ずつ音源を聞きながら本人たちが記者団を前に曲を解説していく、という流れだった。

そんななかで、ハッと目が留まる楽曲があった。

「Woke Up In Tokyo」

ソウルで行われた記者会見だ。着席している記者は筆者以外すべて韓国メディア。司会者も韓国語。日本人メンバーのルカ(河井瑠花/02年生まれ)とアサ(榎並杏紗/06年生まれ)も韓国語で話す。当然のことだ。

だからこそTOKYOの文字だけでもなんだか嬉しくなった。なんなら筆者は会見の前日夜まで日本にいたのだが、それでも「アウェー」の地で目にした「TOKYO」にビビッと来た。まあちょっと韓国大手芸能事務所の記者会見の雰囲気にビビってもいた。

メンバーがアルバムの楽曲を順番に紹介していくなか、この楽曲の順番になった。司会者が韓国語でこう切り出す。

ーー次は7番トラックですが、「Wokeup In Tokyo」です。この曲もルカさんとアサさんが参加したラップユニット曲だと聞きました。どんな曲ですか?

もちろん、ふたりも韓国語で返答した。

ルカ: 「『Wokeup In Tokyo』は、私とアサで一緒にユニットとして作った曲なのですが、元々は全て英語の歌詞でした。でも、日本語があると面白いのではないかという意見もあり、私たちもやってみたいという思いがあったので、日本語の歌詞を入れてみました。とても楽しい曲なので、皆さんに気に入っていただけると思います」

アサ:「また、中間でとても可愛い言葉もたくさん入れるよう努力しました。日本語ですが、外国の方にも理解していただける簡単な言葉で歌詞を書きました。みんなで一緒に楽しめて、短いチャレンジでもできる、本当に楽しい曲なので、たくさん聴いていただいて、楽しんでいただければと思います」

現場では時間の都合上もあり、曲の一部を聴くに留まった。確かにこんな歌詞が入っていた。

いち に eeee

My name is Ruka Kawaii です

皆さんようこそ ここ BABYMON WORLD

会見はこの後、質疑応答に移った。韓国語で質問する気満々の筆者は、予定の質問内容を少し差し替え、媒体名と名前を名乗った後、この楽曲について聞くことにした。

ーー先ほどのアルバムの7番目のトラック「Wokeup In Tokyo」を聞いたとき、「ああ日本語のフレーズが聞こえてきたなぁ」と感じたものです。曲を作っていく過程でそれらが選ばれた理由について詳しくお聞きしたいと思います。そして、もし盛り込みたかったけれど入れられなかった日本語フレーズがあれば教えてください。


ふたりが韓国語で答えてくれた。

ルカ:「『Wokeup In Tokyo』を作る時に、作詞はとても自然に進みました。そして歌詞の中に私たちの名前を入れてみたのですが、それもまた面白くて。良いと思って入れてみました」

アサ:「私たちのストーリーや好きなこと、そして個人的な部分で表現できることを最大限入れてみようと思いました。後半を聴いていただくと、とても面白い言葉が出てきます。なので後半まで聴いていただいて、『私たち二人は日本でこういうものが好きなんだ』『こういう言葉を使うんだ』と思っていただければと思います」

ああ、日本のリスナーはもちろん、韓国をはじめとした世界のリスナーに日本のことを伝えようとしてるんだなと感じた。

YG ENTERTAINMENT
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記者会見はYGの社屋地下一階のスペースで行われた。ミニシアターのようなものがあり、固定の座席がある。筆者は会見後、しばし録音データの整理をノートパソコンで済ませた後、席を立った。

通路に出ると、なんと会見をBABYMONSTERの一部メンバーたちとばったりとすれ違う機会があった。会釈をして日本人メンバーに日本語としばし挨拶することができた。

「ああいう場所で韓国語で喋れるって、楽しいですよね」

「はい」

傍らにいた韓国人メンバーから「ふたり日本語ペラペラ~」と言われた。日本の若い才能が、韓国を通じて世界で勝負する姿に触れられ、ストレートに嬉しかった。古臭い言い方だが、時代の変化を体感できた思いだった。

それは、「Wokeup In Tokyo」をソウルで耳にした喜びにも似たものだった。

「日本や日本語の文化を、韓国のK-POPを通じて世界に発信する時代になったんだな」

これまたきっと古い発想なんだろうが。「Wokeup In Tokyo」日本語のフレーズ、他にどんなものがあるかは…ぜひ楽曲を聴いてご確認を。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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