今絶対に食べておくべき 京都の最新ラーメン「最先端」3軒
京都は知る人ぞ知る「ラーメンの都」
京都は古くからラーメン文化が根付く、知る人ぞ知る「ラーメンの都」だ。戦後の屋台から続く人気の老舗がいくつもある一方で、革新的で唯一無二のラーメンを提供する店も増え続けている。京都のラーメン文化は、伝統と革新の両方を兼ね備えた全国でも稀有な存在と言えるだろう。
飲食業には厳しいコロナ禍ではあるが、観光都市である京都には観光客が戻り始めている。そしていくつも新しいラーメンを提供する新店が登場している。今回は京都のラーメンを食べる上で、今食べておくべき「最先端」の新店3軒をご紹介しよう。
ニューノーマルと京都の歴史が融合する『すがり』
京都で人気店を多数展開する『麺屋 高倉二条』系の新店が、2021年5月にオープンした『すがり』(京都府京都市中京区滕屋町178)だ。「隠れ家のようなお店」がコンセプト。古い京町家をリノベーションした高倉二条系らしい作りの店舗は、看板も暖簾も何もなく、戸が開いていたら営業中というユニークなもの。
店内に入るとタブレットが置かれており、無人でオーダーとキャッシュレス決済が完了。2階に上がると天井を打ち抜いた大きな空間が目の前に広がる。中庭側は完全に開放されており、京町家の通気の良さを活かした作りになっている。さらに退店時は別のルートが確保されており、入店客とすれ違うことはない。京町家の良さを残しながら、会計、換気、動線とニューノーマルな空間を実現している。
看板メニューの「燻製鶏らーめん」は、程よく燻製された鶏肉がゴロゴロと入った一品。豚骨と煮干しや鰹節をバランスよく配した濃厚なスープはしつこさがなくスッキリと飲み干せ、風味豊かな自家製麺と合わせられる。後半で引き出しに入っている山椒や黒七味、さらには卓上の赤酢を頃合い見て入れれば、優しく味が変化していく楽しさもある。
料亭の空間で麺と料理を楽しむ『京ト麺 祇園東山つじ華』
高台寺や法観寺八坂の塔など、京情緒あふれる東山エリアは観光客も多く訪れる場所。細い路地が入り組む一角に、2021年10月にオープンしたのが『京ト麺 祇園東山つじ華』(京都府京都市東山区上弁天町430)。2008年に創業した日本料理店「つじ華」が、ラーメンとカレーを京料理のエッセンスで表現する店にリニューアルした。
メニューはラーメン(醤油、塩)とカレーのいずれかで、簡単なコース仕立てで供されるスタイル。まず食前酒として地元佐々木酒造による「聚楽第」が出て来て、先付には京赤地鶏のテリーヌと赤玉葱のジャム。そしてメインのラーメンは丹波黒どりの旨味に溢れるスープをシンプルに味わえる素ラーメン。そこに京赤地鶏の焼き物やコンフィなど副菜でもありラーメンの具材でもある料理が添えられ、最後にはお菓子で締める。
長年日本料理で腕をふるってきた料理長が、ベテランラーメン職人とタッグを組んで作り上げたラーメンコースは、日本料理の良さとラーメンが見事に融合したもの。落ち着いた設えの空間でゆっくりとした時間が流れる中、料理としての品格と風格を持ったラーメンの世界観を堪能することが出来る。
スープの奥深い旨味と麺の美味しさ『麦の夜明け』
2022年2月のオープン以来、注目を集めている新店が『麦の夜明け』(京都府京都市下京区西七条掛越町12-5)。間借り営業で人気を博していた店が待望の路面店として創業した。店主が製粉会社出身というキャリアから、小麦の銘柄にも意識を払いその特性を生かした自家製麺を味わうことが出来る。
メニューはラーメン2種類とつけ麺で、いずれも「山椒」をテーマに据えている。基本メニューの「帆立と山椒の中華そば」は、淡海地鶏と豚、魚介をベースにした動物系のスープに帆立の旨味が凝縮されたタレ。そこに朝倉山椒のオイルが浮かぶ。麺は「せときらら」「つるぴかり」などの小麦を配合した自家製麺で、噛み締めるごとに味わい深くなる。
異なる旨味の相乗効果で奥深くなっているスープとハイレベルな自家製麺の見事な組み合わせ。山椒の爽やかな香りから始まり、動物系の力強い旨味が味を支えて、最後に帆立の深い余韻が残る。自家製麺を通じ丼の中で紡がれていくストーリー。新店とは思えぬ完成度の高さに思わず脱帽。
今回ご紹介した3軒は、いずれもオープンして一年以内の新店ばかりだが、非常にクオリティの高いラーメンを提供している。京都の今のラーメンシーンを語る上では欠かせない店ばかりなので、ぜひ足を運んで頂きたい。
※写真は筆者によるものです。
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