絶対に食べておかねばならない 名古屋のラーメン「基本」3軒
「寿がきや」「台湾まぜそば」が生まれた名古屋
ひつまぶし、味噌カツ、味噌煮込みうどん、あんかけスパゲティ…。愛知県名古屋市で愛される個性豊かな「名古屋めし」に隠れがちだが、実は名古屋のラーメンも個性的なものばかりだ。
豚骨スープに魚介の和風テイストを加えた、元祖「豚骨魚介ラーメン」とも言われる『寿がきや』は、1946(昭和21)年創業の甘味処がルーツ。今も一杯330円という破格の値段でラーメンを提供しつつ、一緒にソフトクリームなどの甘味も楽しめる、名古屋人にとって憩いの場として日常に溶け込んでいる。
また、全国に広がりを見せつつある「台湾まぜそば」は、2008年に名古屋の『麺屋はなび』が名古屋のご当地ラーメン「台湾ラーメン」をヒントに考案したメニュー。今では各地で模倣したメニューを出すラーメン店が続出し、その知名度は全国区となっている。
そんな名古屋のラーメンには、個性豊かなソウルフードとも呼べる老舗のラーメンがいくつも存在する。一杯のラーメンを通じて、その土地に根付いた食文化を体感する。これこそがラーメン食べ歩きの醍醐味だ。個性豊かな名古屋のラーメンを食べ歩く上で、欠かすことの出来ない基本中の基本とも呼べる3軒の老舗をご紹介しよう。
「好来系」ラーメン発祥の店『好来道場』(1959年創業)
創業は1959(昭和34)年と、60年以上にわたり愛されている老舗が『好来道場』(愛知県名古屋市千種区春岡通6-1-16)だ。「好陽軒」「好好」など、名古屋市を中心に「好来系」とも呼ばれる数多くの人気店を輩出した総本家。今は三代目店主がその味と暖簾を守り続けている。
鶏ガラと豚骨、さらにタマネギやニンジン、ニンニクを丁寧に炊き上げたスープは滋味あふれる味わい。じんわりと優しい味わいのスープはなみなみと注がれ、最後まで飲み干せてしまう。卓上に置かれた高麗人参酢を中盤から入れることで、さらに味わいが深くなっていく。毎日でも食べられる飽きの来ない味は、名古屋人のソウルラーメンとしてこれからも愛されていく。
名古屋生まれの台湾ラーメン『味仙』(1962年創業)
全国にその名が知られる「台湾ラーメン」。台湾と名前がついているが、発祥は1962(昭和37)年に創業した台湾料理店『味仙』(今池本店:愛知県名古屋市千種区今池1-12-10)で、歴とした名古屋生まれのラーメン。このラーメンをヒントに『麺屋はなび』が考案したものが「台湾まぜそば」だ。
見た目にもインパクトがある真っ赤なスープは鶏ガラベースの醤油味。その上に豚挽肉ミンチやニラを唐辛子とニンニクで炒め煮込まれた具材がたっぷりと乗るのが、味仙スタイル。創業者が台湾の担仔麺をヒントに考案したもので、当初は賄いメニューだったがメニューに加えたところ激辛ブームにも乗り大ヒット。今では名古屋を代表するご当地ラーメンとして愛されている。
唯一無二の玉子とじラーメン『萬珍軒』(1966年創業)
屋台としての創業は1966(昭和41)年、店舗としての開業は1968(昭和43)年と、半世紀以上もの間人気を博している店が『萬珍軒』(愛知県名古屋市中村区太閤通4-38)だ。遠くからも目立つ大きな看板が目印。オープン前から行列が出来る、県内外から多くのファンが詰めかける人気店だ。
この店で生まれた名物メニューが「玉子とじラーメン」。豚骨と名古屋コーチンのガラを大釜で煮込んだ白濁スープに、溶き卵が合わせられたまろやかで旨味が強い味わいの一品。製麺所に特注した極細縮れ麺との絡みも抜群。半世紀前の設計とは思えない先駆的なラーメンは、最先端の今のラーメンと比べても存在感が十分。老若男女幅広い客層から愛されているのも頷ける。
今回ご紹介した3軒は、いずれも半世紀以上にわたり名古屋で愛されている人気店ばかり。名古屋でラーメンを食べ歩く時にはまずここからスタートして欲しい。きっと名古屋のラーメンの幅の広さと奥の深さを感じられるだろう。そしてラーメン食べ歩きの楽しさを体感出来るはずだ。
※写真は筆者によるものです。
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