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移民政策&バイデン息子の初公判【24年大統領選までに知っておくこと】

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
デラウェア州連邦裁判所に妻と共に姿を現したバイデン大統領の次男、ハンター氏。(写真:ロイター/アフロ)

今年はアメリカの大統領選挙の年。11月5日の投票日まで5ヵ月となった。実生活でも、周りの人々とのちょっとした会話で大統領選が話題に上るようになった。

ニューヨークに住む筆者の周りの人たちを観察していると、多くの人はどちらの政党を支持するか表明しない。仕事の場でもプライベートの場でも基本的に、政治に関わる会話は避けるべきトピックだ。

ただし、中にはちょっとした言葉の節々で自分の意思を表明する人もちらほらいる。例えばここ最近もこんな会話が聞こえてきた。

「現政権の移民政策は酷い。自分が住むコミュニティがとばっちりを食うのは目に見えている。トランプを支持するわけではないが、正式候補に選ばれたら何らかの対策をしてくれそうな彼に投票するだろう」(ヒスパニック系の女性)

また別の場で、別の人はこのように宣言していた。

「絶対にトランプはあり得ない。トランプが大統領になったら夫婦で国外に逃亡する」(ユダヤ系の女性)

これは筆者の周りでたまたまかもしれないが、このようにブルーステート(青い州)のニューヨークでも大きく意見が分かれる。

これらはあくまでも筆者の周りで「表明している人」だけの話であり、実際のところは不明だ。以前より「隠れトランプ」という言葉もある通り、共和党を支持し、トランプ氏が正式に候補として選ばれたらトランプ氏に投票するであろう人はその話をまったくしない傾向にあるから。

米メディア報道でも、選挙の行方を左右しそうなニュースが毎日のように飛び交っている。以下にアップデートしておく。

【24年大統領選 知っておくこと】6/4/2024

1. バイデン政権の移民対策
2. バイデンの息子の初公判

1. 移民対策

バイデン氏が政権を握って以来、メキシコとの国境からの不法越境者が急増。亡命希望者がテキサス州など南部の州からニューヨークやシカゴなど全米大都市に送られている。各都市では移民が急増しパンク状態。社会問題化している。

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バイデン政権になった2021年を境に、メキシコ国境からの移民が急激に増加(スタティスタ

移民キャラバンは2022年、23年と2年連続で200万人超え。
中南米からの不法移民 今年だけで200万人超。大群に混じり「命がけで北上する中国人」も急増

バイデン氏は4日、メキシコ国境からの不法越境を制限すると発表し、大統領令に署名した。ただしこれは恒久的な移民対策ではなく、1週間の不法越境者数が1日平均2500人を超えた場合に適用されるというもの。1日1500人を下回れば、難民申請の受理が再開となる。

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バイデン氏、メキシコ国境からの不法越境対策強化 大統領令に署名(ロイター)
バイデン政権以降、メキシコ国境からの越境者は990万人という歴史的な多さ(NBCニュース

小手先の移民対策のように見えなくもないが、有権者はどう判断するだろうか?

2. バイデン氏の息子、ハンター氏の初公判始まる

薬物依存や裸の写真、脱税やマネーロンダリング容疑など、何かとお騒がせなバイデン大統領の次男、ハンター・バイデン氏。

ハンター氏は2018年、違法薬物を使用したにもかかわらず、虚偽の申告をして銃を不法に購入するなど3つの罪に問われている。ハンター氏は無罪を主張。

アメリカでは現職の大統領の子が刑事裁判の被告になるのは初めてのこと。

裁判の行方が父親の大統領選にどのような影響を及ぼすか注目が集まっている。

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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