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なぜ頭がいいマネジャーは「目の付け所」が違うのか? 論理思考力が高い「3つ目のマネジャー」徹底解説

横山信弘経営コラムニスト
(ChatGPT DALL-E 3 にて筆者作成)

■ますます求められる論理思考力

これからの時代は、ますます論理思考力が不可欠である。とくにマネジメントを担う者が思い付きで仕事をすると、取り返しのつかないことになるだろう。人や時間といった経営資源が減り続けるため、生産性の高い組織運営が、以前よりも格段に増して求められているからである。

しかし論理思考力といっても、知識だけ身につけても使えなければ意味がない。

論理思考力がある人は「目の付け所」が異なる。「視座」「視野」「視点」と言えばわかりやすいだろうか。

柔らかに視点を移動させられるのである。具体的には、視点の高さ、視点の深さ、視点の長さを状況によって変えて状況判断することができる。視点の高さ、視点の深さ、視点の長さは、それぞれ、鳥の目、虫の目、魚の目でたとえて解説する。ぜひ最後まで読んでもらいたい。

■「鳥の目」は視点の高さ

まず、視点の高さを表現する「鳥の目」を解説する。

鳥の目とは、上空から全体像を見る目のことである。俯瞰力、大局観をつけるためには、不可欠な「目」と言える。

誰かの長い議論を客観的に聞いているだけで、議論の全体像を頭に描くことができる。さらに、何が議論の論点なのかを見つけ出すこともできる。

また、全体像を描くために欠けている情報も発見できるので、効果的な質問や調査を繰り返すことができる。

組織トップには不可欠な目である。

枝葉の話にとらわれることなく、本質的な問題は何か、今組織にとって最も大事なことは何かを思い返す役割を持っている。

問題解決でいえば、問題とは何か? どこに問題があるのか? を特定するプロセス。この問題特定プロセスを省略せず、ヒラメキで解決策を見出さないことで、効率よく問題を解決することができるのである。

たとえば利益が上がっていないという問題に対して、「キャンペーンをしよう」「コストを削減だ」と思いつくままに解決策を出すのではなく、「売上」「経費」と分解し、売上を構成する要素、経費を構成する要素を見える化し、全体像をまず掴むことだ。

そして、「売上に繋がっていないイベント業務に、多額の広告費を使っている営業所が全国で3カ所ある」などと、細かく特定していくことが大事である。

■ 迷ったら、さらに上空を目指す

地上に近すぎて、どこに山があり、川があり、平野があるのか、わかりづらいのであれば、いったん地球の縁(ふち)が視野に入るぐらいに空高くまで飛ぶことをお勧めする。

日常生活であれば、自分にとって「幸せとは何か」「家族とは何か」「健康とは何か」。企業経営であれば、理念を形作る「ミッション(使命)」「ビジョン(あるべき姿)」「バリュー(行動規範)」という問いが頭を整理する。

経営理念などは、とても抽象度が高い。だから、いったん、ここまで視座を高めれば、迷うことはない。そこから少しずつ高度を落としていけばいいのである。

現状の全体像を知りたいのであれば、「3C分析」「ファイブフォース分析」「SWOT分析」「企業のライフサイクル」「バリューチェーン」といったフレームワークを使って整理する。

ビジネスモデルや戦略の全体像をおおざっぱにつかみたいのであれば、「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」「アンゾフの成長マトリクス」「ビジネスモデルキャンバス」等を使う。

このようなツールを使うことで、全体像を把握するのに欠けている情報が何かを発見しやすくなる。

大事なことは、いったん空高く飛ぶこと(理念等の確認)。ここから降りていかないと、理念と事業モデル、戦略、行動計画などと整合性がとれなくなっていくからだ。

営業戦略や商品開発、コスト削減プロジェクトを考えるうえでも、同じようにいったん空高く飛ぶことで頭が整理できる。

日々の業務の棚卸、組織の役割分担なども、たまに全体像を振り返らないと論点がブレるので、気を付けたい。

<参考記事>

【大作】新しい発想ができない人には絶対不可欠!「メタ思考」トレーニング3つのステップ

■「虫の目」は視点の深さ

先述したように、全体像をつかみ、問題の“あたり”をつけたら、その場所へ急降下する。鳥の目を捨て、虫の目を使って細部に目を向けるのである。

たとえば全体像を確認したあと、「売上に繋がっていないイベント業務に、多額の広告費を使っている営業所が全国で3カ所ある」という問題が明らかになったとする。しかし、問題を特定したあと、いきなり解決策を導き出してはいけない。

たとえば、

「3営業所が使っている広告費を減らせ」

と、このように......。

問題を特定したあとは、原因を特定するプロセスへと移行すべきである。

■ 行動に落とし込む

抽象的な表現を、具体化するときも虫の目を使う。

「新規開拓を積極的にやろう」

「ルールを徹底させよう」

というのはスローガンであり、正しいアクションプランではない。「4W2H」「5W1H」などの切り口を使いながら、具体化させる。

「展示会に参加した50社に対して、フォロー電話を3日以内に終わらせよう」

「7つのマネジメントルールをスラスラ言えるようになるまで、毎日作業マニュアルを読み合わせしよう」

このように、数字を使って表現することが重要である。また、プロジェクトをタスク分解するときにも虫の目が必要である。

たとえば「残業削減」「部下育成」などは、多くのタスクが集合したプロジェクトである。このプロジェクトの状態のままでは、物事が動き出さないため、細かい行動レベルに落とし込んだタスクに分解していくことが大事である。

■「魚の目」は視点の長さ

魚の目は、流れ(時間)を見る目のことである。鳥の目と虫の目が静的なのに対し、魚の目は動的である。

鳥の目で問題を特定し、虫の目で原因を特定して解決策を導き出しても、それで終わりではない。当然のことながら、期待通りの結果が出るまで動かなければならない。

期限を設定し、期限から逆算して行動計画を作ることが大事である。時間軸を意識し、限られたリソース(人・モノ・カネ)を現実的に分配することである。この際に使うツールが「ガントチャート」等である。

本プロセスを怠ると、単なる「絵に描いた餅」になる。

■ 本当に論理的な人は柔軟性が高い

単なる頭でっかち、知識バカの人は、魚の目が欠けていると言えるだろう。実際に行動しないからである。会議室で議論ばかりして、現場へ足を向けなければ、時代の流れがわからない。戦略や計画だけ作って満足してしまう人は、この部類に入る。

魚は自分も動くが、周りの水も流れている。だから、動いている人は、常に想定外の出来事と向き合っている。

「重要―緊急マトリクス」などを利用して、業務の優先順位を考えながら、柔軟に計画を見直していく。環境変化によって事情が変化するためである。

■ まとめ

冒頭に記したように、これからの時代、マネジメントを担う人には、ますます論理思考力が必要である。生産性を上げる取り組みが、以前よりもはるかに重要な因子となっているからである。そのためには、鳥、虫、魚の3つの目を持つことだ。以下の記事もぜひ参考にしてほしい。

<参考記事>

【大作】新しい発想ができない人には絶対不可欠!「メタ思考」トレーニング3つのステップ

【大作】頭の回転が遅い人・速い人の違い 「仮説思考」を身につける6つの基本手順

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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