女優がセルフで自らのヌードを撮る。大きな夢だった聖地での美術館デビューへ

水上賢治

映画ライター

6/9(日) 10:01

　女優、ナレーターとして活躍する花澄。

　これまで映画、舞台、テレビ、ラジオなどを主に活動の場にしてきた彼女だが、コロナ禍をきっかけに写真を撮り始め、現在、写真家という新たな表現の道も歩み始めている。

　彼女についてはちょうど写真家として歩み始め、初めてヌードでの濡れ場にも挑んだ主演映画「百合の雨音」が公開された2022年にインタビュー。

　女優自らが写真家として、自らのヌードを撮るという、前例のないセルフ・ポートレートの写真集「Scent of a...」（セント・オブ・ア...）、この写真集の完成とともに新宿北村写真機店で開催された初の写真展、そして映画「百合の雨音」についていろいろと話を訊いた。

　それから約1年半、「百合の雨音」の金子修介監督と再び顔を合わせた出演映画「ゴールド・ボーイ」が3月8日から公開がスタート。本作では、北村一輝が演じる打越一平の妻、遙役を熱演している。

　そして、新たな写真展「世界に、なにを見よう」が新宿北村写真機店で先月19日に無事終了。今秋には三重県亀山市で開催される＜亀山トリエンナーレ＞への参加を控える。

　女優、写真家として着実に歩みを進めている彼女へのインタビュー。ここからは番外編を続ける。番外編全四回／第三回

奨励賞は『その道でこれからも頑張ってください』という意味も入っている。

わたしとしてはすごく勇気をいただいた

　前回（番外編第二回はこちら）は、日本における写真公募展でもトップクラスの知名度と応募人数を誇るJPS展で見事に奨励賞を受賞した作品「いざなひ」について語ってくれた花澄。

　受賞したのが奨励賞というのもまたうれしかったという。

「そうですね。

　なかなか、わたしの作品は明確なテーマが見えずらいといいますか。

　たとえば、何かの事件の決定的な瞬間を撮ったものでもなければ、ある事象や社会問題などを記録したものでもない。

　パッとわかりやすい明確なメッセージがあるというより、見てくださった方のイメージに委ねて、その写真から世界や物語を見出していただくようなタイプの作品だと思うんです。

　なので、なかなか点数的な評価をしづらいだろうし、ましてや賞となるとなかなか当てはまるところが思いつかない。

　そう考えると、もしも（賞を）いただけるとしたら奨励賞ぐらいになるのかなと。受賞後、ほかの賞や受賞作品をみて、そんなことを思いました。

　ただ、まあ、公募に応募したときは賞のことはあまり意識していなかったです。時の運や好み、相性というところも多分にありますしね。

　もちろん受賞できたらうれしいとは思っていましたけど、そう簡単に受賞できないこともわかっていました。

　ですから、あくまでひとつのチャレンジと考えていました。

　その中で、わたしの作品のそのままをしっかりとみていただき、さらに評価をいただけたことに感謝しています。

　それから、奨励賞というのは、『その道でこれからも頑張ってください』という意味も入っていると思うんですね。つまり今後の活躍への期待を込めての賞だと思うんです。

　だから、わたしとしてはすごく勇気をいただいたといいますか。写真家としてこれからより一層の頑張っていきたいなと思いました。

　写真家としてまだまだ駆け出しのわたしとしてはものすごく励みになる賞をいただけたなと思っています」

わたしにとっての聖地「東京都写真美術館」で美術館デビューの夢叶う

　また、今回の受賞ではもうひとつ喜びがあったという。

「東京都写真美術館（※すでに会期終了）と京都市美術館（※6／18～開催）で＜JPS展＞として受賞作は展示されるんです。つまり、美術館に自分の写真作品が展示されることになる。

　実は、受賞作が美術館で展示されることは、急いで応募していたのでチェックすることができていなかったんです。だから、（写真展があるとの）通知を受けたときは『ほんとうに？』とびっくりしました。ちょっと信じられなくて夢のようでした。

　というのも、写真家として活動をはじめてから美術館デビューするのがわたしの大きなひとつの夢でした。

　もちろん自身の個展もものすごく大切で重要で。北村写真機店さんという写真家が憧れるギャラリーで、2回も個展が開催できたことも感謝しかないです。自分が望んでもそう簡単にできることではないですから。

　この個展を開くということも大きな夢でしたけど、同じぐらい美術館に自分の写真を展示することも大きな夢でした。

　ただ、写真家としての歩みを始めたばかりですから、まだまだ先のこと、もしくはいつ叶うかわからないぐらいに考えていたんです。

　これが今回叶ってしまって、自分でもびっくりしています。写真美術館はわたしにとって聖地ですし、こんなに早く美術館デビューできるとは考えてなかったので。

　展示室に入って、自分の作品が目に飛び込んできたときは本当に感動しました。それも（東京開催は）会期的に『木村伊兵衛写真に生きる』のあとだったのでひとしおです。一緒にいた母親も同じくでした。

　それから6年前、わたしがはじめてライカのカメラを買った、ライカジャパンの米山さんも。表彰式を見守ってくれて、そのあと祝賀会に一緒に向かったのですが、いってらっしゃいと見送られたあの日から、まさかこんな日がくるとは！と話しながら一緒に歩きました。いい景色を見ることができました」（※番外編第四回に続く）

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【写真展「世界に、なにを見よう」／「ゴールド・ボーイ」花澄　番外編第一回】

【写真展「世界に、なにを見よう」／「ゴールド・ボーイ」花澄　番外編第二回】

【写真展「世界に、なにを見よう」／「ゴールド・ボーイ」花澄　第一回】

【写真展「世界に、なにを見よう」／「ゴールド・ボーイ」花澄　第二回】

【写真展「世界に、なにを見よう」／「ゴールド・ボーイ」花澄　第三回】

【写真展「世界に、なにを見よう」／「ゴールド・ボーイ」花澄　第四回】

【写真展「世界に、なにを見よう」／「ゴールド・ボーイ」花澄　第五回】

【写真展「世界に、なにを見よう」／「ゴールド・ボーイ」花澄　第六回】