女優、ナレーターとして活躍する花澄。

　これまで映画、舞台、テレビ、ラジオなどを主に活動の場にしてきた彼女だが、コロナ禍をきっかけに写真を撮り始め、現在、写真家という新たな表現の道も歩み始めている。

　彼女についてはちょうど写真家として歩み始め、初めてヌードでの濡れ場にも挑んだ主演映画「百合の雨音」が公開された2022年にインタビュー。

　女優自らが写真家として、自らのヌードを撮るという、前例のないセルフ・ポートレートの写真集「Scent of a...」（セント・オブ・ア...）、この写真集の完成とともに新宿 北村写真機店で開催された初の写真展、そして映画「百合の雨音」についていろいろと話を訊いた。

　それから約1年半、「百合の雨音」の金子修介監督と再び顔を合わせた出演映画「ゴールド・ボーイ」が3月8日から公開がスタート。本作では、北村一輝が演じる打越一平の妻、遙役を熱演している。

　そして、新たな写真展「世界に、なにを見よう」が新宿 北村写真機店で先々月19日に無事終了。今秋には三重県亀山市で開催される＜亀山トリエンナーレ＞への参加を控える。

　女優、写真家として着実に歩みを進めている彼女へのインタビュー。ここからは番外編を続ける。番外編全四回／第一回

写真家としてうれしい知らせが

　実は今回のインタビューの連載中、花澄のもとにひとつうれしい知らせが入った。

　日本の写真公募展の中でトップクラスの知名度と応募人数を誇る公募写真展「JPS展」（公益社団法人 日本写真家協会主催）。

　プロ、アマともに応募可能で応募者総数1,720名、応募作品総数3,832点の中から、見事に奨励賞を受賞したのだ。

　まず写真展に応募するきっかけは、知人の「誰でも募集できます！」というSNS投稿をみたことだったという。

「実は、写真展に応募したのは今回が初めてでした。

　これまで正直なところ、写真コンテストの類には、あまり縁がありませんでした。

　というのも、やはり賞向きの作品て、あるといいますか。エッジが効いているとか、派手だとか、決定的瞬間だとか、こう、パッと見てうわぁ！となるパンチのある作品が多いイメージがあって。

　わたしの撮る写真は、そこにうまくハマらないというか。

　テーマがないわけではないのですが……。まず、おとなしいし、アイキャッチの強さを気にして撮っているわけではないし、報道写真のような社会への強度なメッセージや問題提起をする作品でもない。

　それに賞によって毛色も違うので、傾向と対策があるような気がするんですよね。

　そう考えると、自分の作品は、とことんマイペースなところで、自分の考える『美』や『アート』を追求して表現しているところがある。

　セルフ・ポートレートであったり、オールド・レンズを使ったりと、やっていることが独特すぎるんですよ。これはもう大変に自覚があります（笑）。

　だから、コンテスト向きの写真ではないと思って意識が向かなかったんです。

　ただ、2022年に個展を開いたときに、日本写真家協会の方がけっこう見に来てくださっていた。

　そのこともあって、『JPS展』のことが目に入り、規定を見てみると、プロアマ問わずでテーマは『自由』となっている。

　何となくの勝手なイメージなんですけど、写真家協会だったら色んな方がいらっしゃって、どんなテイストでもフラットに広く受け入れてくれるんじゃないかと想像して応募してみようかなと思ったんです」

公募展の情報を知ったのが応募締切日２日前、速攻で応募しました（笑）

　時期としては、先ごろ終了した写真展「世界に、なにを見よう」の準備段階のときだったという。

　大変だったのではないだろうか？

「実は、この公募展の情報を知ったのが応募締切日２日前で（苦笑）。

　もう速攻で応募しました。

　ちょうど写真展の準備段階で、写真をすぐプリントする体制がたまたまできていた。作業したのが締切日だったんですけど、用紙もインクもちゃんと揃っていた。

　なので、なんとかギリギリで応募に間に合わすことができました。体制ができていなかったら、無理だった気がします」

いまになって喜びが倍になっています

　そして、このたび、奨励賞受賞の知らせが届いた。

「ご報告をいただいたときもうれしかったんですけど、いまになって喜びが倍になっています。

　というのも、先ほどお話ししたように写真展をあまり意識してこなかったので、JPS展が写真家にとってどのような存在なのかよくわかっていなかったんです。

　だから、入賞したら、写真界隈の知り合いの方からものすごい勢いで『おめでとうございます』『すごいですね』『それは自慢していいですよ！』といったメッセージをいただいたんですけど、わたし自身はその受賞の意味がいまひとつわかっていなかった。

　で改めて調べてみると、写真家にとって登竜門的なコンテストで。入選を果たすのは狭き門のコンテストで、それこそ何十年と応募していても入選できない人もいる。

　見てみると今回の応募作品総数は4000近くあって、写真総数は5000枚を超えていてびっくり。

　その中で受賞することができた。そこでようやく理解しました『これってすごいことなんだ』と。

　いや急いで応募してよかったです（笑）。あと、SNSをやっていてよかった！」

（※番外編第二回に続く）

＜花澄インスタグラム＞

https://www.instagram.com/textisan

【写真展「世界に、なにを見よう」／「ゴールド・ボーイ」花澄　第一回】

【写真展「世界に、なにを見よう」／「ゴールド・ボーイ」花澄　第二回】

【写真展「世界に、なにを見よう」／「ゴールド・ボーイ」花澄　第三回】

【写真展「世界に、なにを見よう」／「ゴールド・ボーイ」花澄　第四回】

【写真展「世界に、なにを見よう」／「ゴールド・ボーイ」花澄　第五回】

【写真展「世界に、なにを見よう」／「ゴールド・ボーイ」花澄　第六回】

＜2024　JPS展＞

東京展

会期：5月18日（土）～5月26日（日）

時間：10:00～18:00（木･金は20:00まで）月曜休館

会場：東京都写真美術館 B1F展示室（恵比寿ガーデンプレイス内）

関西展

会期：6月18日（火）～6月23日（日）

時間：10:00～18:00

会場：京都市美術館別館2F

＜花澄写真展「世界に、なにを見よう」＞

開催終了

写真展に関する写真はすべて（C）2022 KAZUMI PHOTOGRAPHY. All Rights Reserved.

「ゴールド・ボーイ」

監督：金子修介

脚本：港 岳彦

出演：岡田将生、黒木華、羽村仁成、星乃あんな、前出燿志、

松井玲奈、北村一輝、江口洋介、花澄

公式サイト　https://gold-boy.com/

全国公開中