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さらば、雷鳥戦士たち! “雷鳥魂”を胸に今季限りで巣立つ富山GRNサンダーバーズの選手から惜別の言葉

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
壇上であいさつをする富山GRNサンダーバーズの吉岡雄二監督(撮影:筆者)

■富山GRNサンダーバーズから巣立つ雷鳥戦士たち

 出会いがあれば別れがある。それはどこの世界でも同じことだ。独立リーグ界でも、退団選手との別れが淋しい季節になった。

 独立球団では、毎年半数近くが入れ替わる。大半の選手がNPB入りという夢を追い、かなわなければ去っていく。長く居る場所ではないのだ。

 日本海リーグ富山GRNサンダーバーズでもこの秋、13人が退団する。1人は先のNPBドラフト会議阪神タイガースから5位指名を受けた佐野大陽選手。あとは9人が任意引退、2人が自由契約をそれぞれ決意し、10月27日のファン感謝祭で退団のあいさつを行った。

 壇上であいさつをした選手たちの言葉を全文紹介する。

ファン感謝祭で“審査員”としても活躍した首脳陣(右から)吉岡雄二監督、島崎毅コーチ、細谷圭コーチ(撮影:筆者)
ファン感謝祭で“審査員”としても活躍した首脳陣(右から)吉岡雄二監督、島崎毅コーチ、細谷圭コーチ(撮影:筆者)

■退団する13選手

【佐野大陽】*阪神タイガース・ドラフト5位指名

佐野大陽(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)
佐野大陽(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)

 ファンの皆さまのおかげで1年間ひたむきに野球と向き合い、一生懸命戦い抜くことができました。その結果、阪神タイガースよりドラフト指名をいただくことができました。本当にありがとうございます。

 来年度からさらに飛躍し、ファンの皆さま、そして富山の皆さまにいい報告ができるよう一生懸命頑張ります。これからも応援よろしくお願いします。

 1年間という短い間でしたが、本当にありがとうございました。

【川渕有真】*任意引退

川渕有真(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)
川渕有真(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)

 本日はまず、このような場にファンの方に来ていただき、誠にありがとうございます。

 1年間、ファンの方々のご声援のおかげで自分としても野球をやることができました。結果としては満足いく結果ではないんですけども、素晴らしい首脳陣の方々、スタッフの方々、そして素晴らしい選手のみんなと野球をすることができて、本当にこの1年間はかけがえのないものだったなというふうに思います。

 今年で野球は辞めてしまうんですけども、これからも富山サンダーバーズを本当に応援していますし、自分としてもこの1年間学んだことをまた社会人として生かせたらなというふうに思うので、これからまた頑張っていきたいと思います。

 今までご声援のほど、ありがとうございました。

【水野琉唯】*自由契約

水野琉唯(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)
水野琉唯(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)

 自分はサンダーバーズに3年間、いさせてもらいました。

 高校のときに野球を辞めようとしたときに、吉岡監督だったり大士さんに誘われて、まだ諦めずにやろうっていうことを思ってやりました。

 1年目はそこそこだったんですけど、2、3年目と頑張ろうという気持ちでやったんですけど、怪我があり、全然思うような結果が出ませんでしたが、諦めずに3年間やってこれて、人としては少しは成長できたかなと思ってます。

 それを力に変えて、社会に出るので、そこで活かせるように頑張っていきます。3年間ありがとうございました。

【下司凱世】*自由契約

下司凱世(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)
下司凱世(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)

 まず、この場にお集まりいただき、ありがとうございます。

 自分は1年間という短い時間だったんですけど、やっぱり指導陣の方々、チームメイトの方々の背中を見て、とても成長することができたと思います。

 自分の中では最初はどうなることかと思ったんですけど、チームメイトの皆さんに仲良くしていただいて、とても楽しい1年になったと思います。

 本当にありがとうございました。

【林悠太】*任意引退

林悠太(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)
林悠太(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)

 まず、このような会を開いていただき、また足を運んでいただき、ありがとうございます。

 自分は覚悟を決めて2年間、このチームでやるって入ってきたんで、2年って決めてたんですけど、本当は早く1年でプロに行ければって思ってたんですけど、そううまくいかず2年目、本当に野球だけひたむきに頑張っていたんですけど、まぁそれもうまくいかず。

 苦しい1年だったんですけど、ファンの方々がどのような試合展開でも最後まで応援してくださったり、負け越して苦しい時期があったんですけど、そのときでも足を球場に運んでくれて、そういった応援があったからこそ最後までやりきれたかなと思います。

 また、素晴らしい首脳陣の方々に支えていただき、最後まで自分を先発として使っていただいたり、仲間がやっぱりいたからこそ、練習だったり、その後の自分の練習も頑張れたのかなって今思います。

 本当にまず一番に、家族には大学から、いや、この15年間、野球を始めてからずっと支えてもらったんで、本当に感謝してます。ありがとうございます。

 自分は富山にたぶんいると思うんで、球場に足運んで、また、残るチームメートの応援だったり、機会があれば解説もしようかなと思います。本当にありがとうございました。

【横井文哉】*任意引退

横井文哉(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)
横井文哉(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)

 まず、このような場を開いていただき、ファンの方々および関係者の方、ありがとうございます。

 そしてファンの皆さま、1年間応援ありがとうございました。皆さまの応援のおかげで、苦しい時期もいっぱいあったんですけど、なんとか1年乗りきっていけたと思います。

 この富山に来て、初めは僕はもう本当に一番下からのスタートだったんですけど、その中でもしっかり成長して、先発を任せてもらったり、そういう頼られるようになるまで成長できたのは、この富山GRNサンダーバーズっていうチームだからこそだと思うので、僕はもう引退するということになりますが、またこれからも富山GRNサンダーバーズを応援よろしくお願いします。

【東田汰一】*任意引退

東田汰一(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)
東田汰一(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)

 この度、富山GRNサンダーバーズを退団とともに野球を辞めることになりました。ここまで野球ができたことは、自分に携わる野球関係者の皆さまのおかげだと思っています。

 これからは野球とはまた違った道に進みますが、いろんな形でサンダーバーズに貢献できるように頑張っていきます。

 1年間、ありがとうございました。

【松重恒輝)*任意引退

松重恒輝(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)
松重恒輝(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)

 背番号3番、松重恒輝です。今シーズンを持ちまして、引退することを決断させていただきました。まず2年間、本当に皆さん、ありがとうございました。

 ファンの皆さま。特に今シーズンは怪我で離脱することが多くて、その中でも球場でお会いした際には温かい声をかけてくださって、僕自身も怪我をして落ち込んでいた中でリハビリをする原動力となりました。本当にありがとうございます。

 チームメイトのみんな。同じ夢を持って、同じ目標を持って、同じ方向に進めたことが、全員で切磋琢磨できた要因だと思っています。本当にありがとう。

 そして、首脳陣の方々。2年間、本当にお世話になりました。とくに細谷コーチと吉岡監督には2年間お世話になったんですけど、まず細谷コーチとは野球の話はもちろん、プライベートの話から本当にいろんなことをお話しさせていただいて、とくに今シーズン、怪我してる際には細谷コーチなりの声のかけ方をしてくださって、僕もすごい励まされて、そのおかげで1か月で戻ってこれたのかなと思ってます。

 そして吉岡監督。僕は帝京高校の野球部出身なので、吉岡監督と野球ができてることが未だに不思議です。不思議です。

 僕は帝京高校で毎日グラウンドに入るときに、吉岡監督の名前が刻まれている石碑にあいさつしてから練習に入ってました。そのぐらい、帝京高校のOBからすると吉岡監督という方は偉大で、僕は2年間、吉岡監督と野球をできたことが人生のすごい財産になりました。ありがとうございました。

 最後に、キャプテンとして今シーズン優勝することはできませんでしたが、来シーズンも富山GRNサンダーバーズをぜひファンの皆さま、応援よろしくお願いします。

 2年間、ありがとうございました。

【今釘勝】*任意引退

今釘勝(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)
今釘勝(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)

 2年間、短い間ではありましたが、皆さん、本当にありがとうございました。

 僕は大学1年生のときに野球も辞め、学校も辞めてフラフラしていました。そんなときにたまたま大士さんに声かけてもらって、細谷さんとも色々な繋がりがあったのもあり、改めて野球をすることができました。

 野球は好きやったんで、もう一度やりたいっていう気持ちはすごくあったんですけど、できなくて、やることもなくふらふらしてたんで、もう一度何か、野球ではあるんですけど、真剣に取り組めるっていう環境を与えてもらったことがすごく嬉しくて、人生最後、仕事する前に自分の大好きなことで一生懸命になれたことがよかったかなと思います。

 2年間、ありがとうございました。

【吉本光甫】*任意引退

吉本光甫(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)
吉本光甫(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)

 監督、コーチの方々、そして大士さん、球団職員の方々、約3年半、本当にありがとうございました。

 途中から入ってきた自分を温かく迎え入れてくれたファンの方々、この3年半、本当にありがとうございました。

 今日は来てないんですけど、自分がこうやって野球をできたのは家族のおかげなので、家族にもしっかり感謝したいなと思います。

 自分は本当にこのチームで3年半、野球ができたことが幸せです。本当にありがとうございました。

【武部拓海】*任意引退

武部拓海(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)
武部拓海(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)

 まずはじめに首脳陣、大士さん、そして公士さん、球団社長の永森茂さん、本当に3年間ありがとうございました。

 僕は入って1年目、打率1割5分で正直、全く通用しないなと思って、1年目からもう独立の世界を諦めかけてたんですけど、家族のおかげで2年目、3年目と続けることになり、苦しい思いが多い独立生活だったんですけど、結局最後はレギュラーとしても使っていただくことができましたし、いろんな野球選手との関わりも多くできて、本当に最後は充実した3年間でした。

 そして、14年間やってきた野球を一番近くで見てくれたお母さん、そしてお姉ちゃん、お父さん、本当に14年間ありがとうございました。

 最後に、僕も富山県人なんで、もう内定をいただいて富山県の会社に就職することになったので、球場でもそうですけど、いろんなところに出没すると思うんで、もしお会いしたら、ぜひ声をかけていただきたいです。

 3年間、本当にありがとうございました」。

【石橋航太】*任意引退

石橋航太(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)
石橋航太(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)

 皆さん、2年間ありがとうございました。この2年間では頭にデッドボールが当たったり、骨折したり、なかなか試合に出られない期間がありましたが、野球選手として大きな成長ができたと思います。

 NPBには行けませんでしたが、自分はまだ野球を続けるので、また見かけた際は応援、お願いします。2年間、ありがとうございました。

【墳下大輔】*任意引退

墳下大輔(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)
墳下大輔(写真提供:富山GRNサンダーバーズ)

 お願いされました墳下です(笑)。

 皆さん、2年間ありがとうございました。とても楽しい独立生活でした。

 自分は20歳のときに母親を亡くして、必ずプロに行くんだと思って野球をやってきました。とくにこの独立生活はレベルの高い指導者の方々のおかげで、とても楽しい野球をすることができました。

 また、ファンの皆さんには先ほどあったように『墳下、お願いします!』っていうかけ声とかご声援をいただくことができて、本当に嬉しかったです。

 とくに指導者の方の細谷さんはいつも厳しくて、なかなか褒めてもらえないんですけど、初めて褒められたのは小矢部球場でバッティングしてるときに「ナイスバッティング」って言われて、その1回だけなんですけど、それがめっちゃ嬉しくて…。その試合は力んでダメだったんですけど。

 本当にそれぐらい、自分がいいなと思ってても、プロはそんなもんじゃないぞっていう厳しさを教えてくれるコーチでした。

 監督は、僕の好きな言葉で『上手くなるのを上手くなれ』っていう言葉があるんですけど、まさにそういう監督だなと思って。

 すごいいいタイミングでアドバイスくれるし、自分が考えすぎてるなっていうときにそっと近寄って、ひと声かけていただいて、次の試合では4打数4安打とかしちゃう、本当になんか魔法のような、魔法使ってるんじゃないかなっていうぐらい、監督はすごいなって思います。

 これからは野球を通じて培った人間力を社会に活かして、頑張っていきたいなと思います。2年間、ありがとうございました。

ファン感謝祭の後日、吉岡雄二監督の退団も発表された(東京ヤクルトスワローズのコーチ就任)。心なしか、ライティ―も淋しそう(撮影:筆者)
ファン感謝祭の後日、吉岡雄二監督の退団も発表された(東京ヤクルトスワローズのコーチ就任)。心なしか、ライティ―も淋しそう(撮影:筆者)

■雷鳥魂を胸に羽ばたく

 NPB入りの夢をかなえた選手、涙を呑んだ選手、そしてほかで野球を続ける選手。さまざまだ。しかしみんな、ここ富山でやりきったという清々しい笑顔を見せていた。そして一様に口にしていたのが、感謝の言葉だ。

 吉岡雄二監督はじめ首脳陣に、球団スタッフに、また、声を嗄らして応援してくれたファンに―。退団しても、サンダーバーズで過ごした思い出は、いつまでも色褪せないだろう。

 “雷鳥魂”を胸に、今後も各方面で力を発揮してほしい。

 幾人かの選手たちには個別に思い出話や今後のことを聞いたので、また次回、紹介しよう。

最後は全員で記念撮影(撮影:筆者)
最後は全員で記念撮影(撮影:筆者)

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フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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