イブに届かぬ宅配ピザ 運営会社の法的責任は? #専門家のまとめ
大手宅配ピザチェーン「ドミノ・ピザ」でクリスマスイブに宅配ピザを注文したものの、配達されなかったとして話題となっています。ネット上では「予約の受け付けが過剰で、店舗の処理能力を超えている」といった意見が示される一方で、「消費者自身がクリスマス商戦を避けるなど、行動を見直すことも必要だ」といった声も上がっています。運営会社の法的責任を含め、理解の参考となる記事をまとめました。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
クリスマスの宅配ピザを巡っては、52分遅れて届いたことで返金を受けたものの、30分程度が我慢の限界であり、精神的苦痛を受けたとして、利用客の男性が慰謝料10万円の支払いを求めて運営会社を提訴したケースがありました。
「ドミノ・ピザ」とは別の宅配ピザ業者に対する裁判でしたが、裁判所はことし7月にその法的責任を否定し、男性の請求を棄却しています。特段の事情がない限り返金だけで十分だという判断です。「ドミノ・ピザ」が作り直しか全額返金に応じると述べ、それ以上の損害の賠償に言及していないのもそのためです。
以前は販売促進のため、宅配ピザ各社が「30分以内に届けられなかったら無料にする」とか「次回使える無料クーポンを渡す」などとうたっていましたが、配達を急ぐ配達人による信号無視やスピード違反、交通事故が問題となり、いまでは撤廃されています。
社内の目標にとどめるにしても、あまりにも厳しい時間制限は店のスタッフらにしわ寄せがいくだけですし、これを守ろうとして危険な宅配に及んだ配達人が事故にあい、負傷したり死亡したりしたら、労災になるだけでなく、運営会社が損害賠償責任を問われる事態にも発展します。(了)