ここ3年に120本塁打のFAが売れ残り!? ヤンキースが手を出さなかった理由は…
ピート・アロンゾは、メジャーリーグ6年目を終え、ニューヨーク・メッツからFAになった。通算226本塁打は、このスパン(2019~24年)の2位だ。アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)の232本塁打に次ぐ。
2022年以降の直近3シーズンに限っても、アロンゾのホームランは120本を数える。こちらのスパンにアロンゾより多くのホームランを打った選手は、157本塁打のジャッジ、132本塁打の大谷翔平(現ロサンゼルス・ドジャース)、131本塁打のカイル・シュワーバー(フィラデルフィア・フィリーズ)の3人しかいない。アロンゾは、今月初旬に30歳の誕生日を迎えたところだ。
ただ、来シーズンからプレーする球団は、まだ決まっていない。
ストーブリーグでは、今月下旬に、アロンゾと同じ一塁手が次々に動いた。クリスチャン・ウォーカー(アリゾナ・ダイヤモンドバックス→FA→ヒューストン・アストロズ)、ポール・ゴールドシュミット(セントルイス・カーディナルス→FA→ヤンキース)、ジョシュ・ネイラー(クリーブランド・ガーディアンズ→トレード→ダイヤモンドバックス)、カルロス・サンタナ(ミネソタ・ツインズ→FA→ガーディアンズ)に、ナサニエル・ロウ(テキサス・レンジャーズ→トレード→ワシントン・ナショナルズ)の5人だ。
彼らのうち、FA市場に出ていた3人は、ウォーカーが3年6000万ドル(2025~27年)、ゴールドシュミットが1年1250万ドル(2025年)、サンタナは1年1200万ドル(2025年)の契約を手にした。
アロンゾが求めている契約の総額は、この3人の合計を遙かに上回るはずだ。ニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマンによると、昨年6月にメッツから7年1億5800万ドル(2024~30年)の延長契約を申し出られたアロンゾ――と代理人のスコット・ボラス――は、それを断ったという。
新たな一塁手を手に入れた、アストロズ、ヤンキース、ダイヤモンドバックス、ガーディアンズ、ナショナルズの5球団に加え、ゴールドシュミットが退団したカーディナルスも、一塁のポジションは空いていない。ESPNのジェシー・ロジャースは、捕手のウィルソン・コントレラスが一塁に移る、と報じている。
他にも、一塁手が確定している球団は少なくない。例えば、フィリーズがブライス・ハーパー、ドジャースがフレディ・フリーマン、トロント・ブルージェイズがブラディミール・ゲレーロJr.、アトランタ・ブレーブスはマット・オルソン……といった具合だ。ボストン・レッドソックスは、トリスタン・カーサスをトレードで放出するかもしれないが、MassLive.comのショーン・マカダムらによると、ラファエル・デバースを三塁から一塁へ移すことを検討しているという。
一塁のポジションが空いていて、アロンゾに総額1億ドル以上の契約、あるいは、少なく見積もってもウォーカーを凌ぐ契約を申し出そうな球団は、メッツ以外にはないように見える。
メッツにしても、アロンゾの後任候補がいないわけではない。2024年にブレイクしたマーク・ビエントス――レギュラーシーズンに27本塁打とポストシーズンに5本塁打――のポジションは、三塁よりも一塁が適任だろう。アストロズからFAになっているアレックス・ブレグマンをメッツが手に入れた場合、ビエントスは一塁に回る。
ゲレーロJr.の存在も、アロンゾの球団が決まっていない理由の一つかもしれない。このままいくと、ゲレーロJr.は、来オフにFAとなる。ヤンキースがアロンゾに手を出さず、ゴールドシュミットと1年契約を交わしたのは、来オフにゲレーロJr.を迎え入れるための布石ということも考えられる。
ブルージェイズは、ゲレーロJr.を引き留めようとしているらしいが、ハードルは高い。元メジャーリーガーで、ガーディアンズのスペイン語放送でブロードキャスターを務めているカルロス・バイエガは、ブルージェイズが提示した3億4000万ドルの延長契約をゲレーロJr.が却下、と報じている。