豚骨の街福岡で増えている鶏白湯ラーメン

　博多ラーメンや長浜ラーメン、久留米ラーメンなど、福岡は豚骨ラーメンの街として全国にその名が知られている。しかしながら、ここ数年は「非豚骨」「脱豚骨」の流れが加速化しており、豚骨ラーメン以外のラーメンを出す店が急増している。

　その中でも注目を集めているのが、鶏を白濁させたスープの「鶏白湯（とりぱいたん）ラーメン」だ。豚骨同様に白濁しているスープであることと、福岡の郷土料理でもある「水炊き」にも通じることもあり、福岡では多くの人たちに受け入れられている。

　今回は豚骨ラーメン店が数多く軒を連ねる福岡市で、注目を集める鶏白湯ラーメン店を実食して厳選。豚骨ラーメンに勝るとも劣らない、福岡ならではの個性豊かな鶏白湯ラーメンをご紹介しよう。

華味鳥を丁寧に炊いたスープ『絶好鳥』

　2018年に箱崎で創業し、2023年に現在の場所へ移転した人気店が『絶好鳥』（福岡県福岡市中央区高砂1-18-1）。店主は中国料理店や大手外食チェーンで商品開発を担当。その後久留米の老舗豚骨ラーメン店で経験を積んで独立。中国料理の技法を使ったワンタンと、豚骨ラーメンで学んだ経験が生かされた鶏白湯ラーメンを提供している。

　濃厚でありながらしつこさのない鶏白湯のスープは、「水炊き」をヒントに福岡のブランド鶏『華味鳥』を使い、鶏の持つ力強い旨味を極限まで引き出した。厚めの皮に存在感のある餡のワンタンが入った「鶏ワンタン麺」は客の６割がオーダーする人気メニューになっている。チーズをたっぷりのせた「泡そばフロマージュ」など、創作ラーメンも人気を集めている。

濃厚な鶏の旨味あふれる黄金色のスープ『ほったて小屋』

　2013年に福岡市西区野方で居酒屋として創業、2018年にラーメン専門店になったのが『ほったて小屋』（福岡県福岡市西区野方6-730-8）。2023年には人気ラーメン店が集まるラーメン施設『ラーメンスタジアム』（福岡県福岡市博多区住吉1-2 キャナルシティ博多内）にも出店を果たした人気店だ。

　丸鶏や鶏ガラ、鶏頭など鶏の様々な部位を使ってじっくり丁寧に炊き上げた黄金色のスープは、しつこさや臭みはないのに鶏の濃厚な味わいが広がる。香りとコクを加える鶏油は親鶏と若鶏をブレンドして深みを演出。ラーメン職人のアプローチとは違った、料理人ならではの鶏白湯ラーメンを生み出した。

鶏と魚介のハーモニー『チキンマン』

　2015年に薬院でオープンし人気を集めた『CHICKEN MEN』の鶏白湯ラーメンが、2024年に春吉で鶏白湯ラーメンと鉄板料理の専門店『チキンマン』（福岡県福岡市中央区春吉3-24-23）として復活。かつての味をブラッシュアップした一杯を提供している。

　国産鶏を丁寧に炊き上げた濃厚な鶏白湯スープに、宗田鰹などの魚介スープを合わせることで、鶏と魚介の旨味が重層的に味わえる。濃厚なスープに負けない麺は京都の老舗製麺所『麺屋棣鄂』製を使用。「鶏白湯魚介」という新たなアプローチの一杯を味わえる。

　今回ご紹介した３軒は、いずれも鶏白湯ラーメン専門店として、博多ラーメンとは違った新たな福岡のラーメンを体感する上で欠かせない店ばかり。豚骨だけではない福岡のラーメン食べ歩きをぜひ楽しんでほしい。

※写真は筆者によるものです。

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