理学療法士が働く場所 〜その他編〜
田舎の民間病院で理学療法士として勤務しているぴぴです。
みなさまにひとつでもためになるような知識や情報をお届けしていきたいと思います。
今月のテーマずばり「理学療法士を知ろう」です。
理学療法士ということばは聞いたことあるけど、一体何をしている仕事なの?どんなところで働いているの?など、理学療法士に関する疑問を解決していきます。
理学療法士という職業の人と出会ったことはありますか?
大学の友人はほとんどが理学療法士だし、病院という職場にも理学療法士がわんさかいますが、それ以外の場所で「理学療法士です」という方にはあまり出会ったことがありません。
理学療法士が働いている場所は
・福祉施設
・行政機関
・教育研究機関
・企業
・スポーツ事業
が挙げられます。
前回までで、医療機関で働く理学療法士について、入所施設で働く理学療法士について、通所施設で働く理学療法士について解説してきました。
今回は少数派ではありますが、その他の職場で働く理学療法士について深掘りしていきます。
福祉施設
自宅での生活が難しい方や、介護の必要な方が入所されている障がい者施設にも理学療法士は在籍しています。
生まれつき身体に障害を持っている方や、病気やケガで身体の成長や発達に何らかの遅れがある子供たちにリハビリを提供しています。
利用者さんそれぞれが持っている能力を最大限に伸ばすことで、身体機能や生活動作能力の向上を図ります。
手足の障害だけでなく、呼吸器や心臓に障害を持っている方もいます。
日常的に酸素投与が必要な状況など、全身の状態が安定していない場合には、呼吸介助などの全身のサポートも行います。
手足が不自由になってしまうと、立ちあがること・歩くことが難しくなったり、車椅子の角度に工夫が必要な場合もあります。
ひとりひとりが安全に生活できるように、手足の動きを補助する装具(サポーターのようなもの)を提案したり、車椅子の高さやクッションなどの調整を行います。
行政機関
行政機関で働く理学療法士とは、すなわち公務員のことです。
身近なところでは
・社会福祉協議会・身体障がい者福祉協議会
・保健所・市町村保健センター
・地域包括支援センター(市町村直営)
などがありますが、求人自体はとても少ないのが現状です。
介護福祉課や健康企画課といった部署に配属されることが多く、市民の健康増進を目的とした健康講座の講師や体操指導を任され、地域に密着した福祉活動を行うことが多いです。
教育研究機関
理学療法士が教育機関や研究の分野で活躍するケースもあります。
理学療法士の養成機関には、理学療法士の資格を持つ教授が何人も在籍しています。
養成校に通っていた頃は、理学療法の「理」の字から、リハビリテーションの「リ」の字から、丁寧に教えてもらいました。
学生への指導もしながら、それぞれの専門分野に関する研究もしているという、今から思い返すととても多忙な先生方だったのではと思いますが、現場でのひとコマや、実際の治療経験をもとに授業をしてもらうことができました。
医療技術は常に進歩しているため、よりよい治療プログラムを提供していくためには、大学や研究機関での研究が必要です。
研究の結果は学会や学術誌を通して報告されることが多いので、わたしたちのような医療現場で働く理学療法士も、教育研究機関で働く理学療法士からの情報をもとに、治療内容をアップデートしています。
企業
一般企業やメーカーに「理学療法士」として就職することはほとんどありませんが、医療機器メーカーやスポーツメーカーなど、理学療法士の知識を必要とされる企業もあります。
理学療法士が監修したインソール(靴の中敷き)や、骨盤サポーターなどは目にしたこともあるかもしれませんね。
日常の中でのサポートを得意とする職種なので、使いやすい高さや大きさ、パフォーマンスを発揮しやすい角度など、暮らしの中に理学療法士としての視点を持つことで、機能性や利便性の高い製品が作り出せる可能性があります。
スポーツ事業
理学療法士を志す学生さんにはスポーツ経験を活かしてスポーツの分野で活躍したいという方も多いです。
スポーツに関わる理学療法士は、治療やリハビリで訪れる病院やクリニック、スポーツドクターが開業しているクリニックなどに勤務しています。
スポーツ事業での理学療法士の仕事は、
・病気やケガで休養していた選手の競技復帰支援や再発予防
・選手のプレーパフォーマンスの向上を目的とした効率の良い動きや正しいフォームの指導
が中心となります。
最近ではスポーツジムで勤務し、パーソナルトレーナーとして活躍している理学療法士もいるので、通っているスポーツジムに理学療法士がいるかもしれませんね。
まとめ
10月のテーマ「理学療法士を知ろう」にちなんで、医療機関・介護保険施設以外で働く理学療法士について解説してきました。
今回ご紹介したものは、かなり少数派ではありますが、理学療法士という同じ資格を持っていても、働き方は様々であるということが伝わりましたでしょうか。
次回は、理学療法士と一緒に働くことの多い、作業療法士や言語聴覚士について解説していきます。
少しでも理学療法士やリハビリテーションに興味を持っていただけたらうれしいです。