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ボーイングCEOの「驚きの年収」が公聴会で暴露。利益第一の企業体質も厳しく追及される

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
19年に墜落したエチオピア航空の犠牲者の写真を突きつけられるカルフーンCEO。(写真:ロイター/アフロ)

たび重なる深刻な航空事故が続く米ボーイング機をめぐり、同社の代表が18日、説明責任に応じるため米連邦議会上院の公聴会に出席した。

ボーイング社のデイブ・カルフーンCEOは公聴会の冒頭で、737MAXの二度の墜落事故の犠牲者の遺族に向かって謝罪し、安全面に注力していくことを誓った。

二度の墜落事故が起きた後の2020年にCEOに就任した同氏。しかし今年1月には飛行中の機体の一部が吹き飛ぶ重大事故が発生し、公聴会では上院議員から厳しい非難を浴びた。

737MAXの二度の墜落事故とは?
2018年と19年、ライオンエアとエチオピア航空が運航するボーイング737MAX8が相次いで墜落し、乗客乗員含む189名と157名の合計346人が犠牲に。

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機体の一部が吹き飛んだ事故とは?
アラスカ航空が運航する737MAX9の事故。これについてカルフーン氏は「製造上の欠陥によるものだった」と認めた。

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2020年に同社CEOに就任したデイブ・カルフーン氏。一連の事故を受け、年内に辞任することが決まっている。
2020年に同社CEOに就任したデイブ・カルフーン氏。一連の事故を受け、年内に辞任することが決まっている。写真:ロイター/アフロ

製造工程でいかに手抜きができるか、つまり優先されてきたのは人命より利益と見られているボーイング。そのような間違った企業体質や、従業員が不当に扱われてきたと証言した複数の内部告発者に身の危険が及んでいることも明かされている。

公聴会でカルフーン氏は、安全性を怠り隠蔽主義であること、自身の高額な報酬、即時退任しない理由などについて、議員から厳しく追及を受けた。

ボーイング社での報酬を尋ねられたカルフーン氏は「大きな額だ」と言明を避けたが、「今年の報酬*は32.8ミリオンドル(約51億8000万円)なんだってね。昨年から45%もアップしているそうじゃないか」「このような信じがたい莫大な報酬がありながら具体的に何をしているのか?」「乗客を危険に晒し従業員を不当に扱っているが、報酬に匹敵する価値ある仕事をしていると言えるか?」と厳しく問われる一幕も。

しどろもどろになるカルフーン氏に議員は「なぜ即座に辞任しないのか?」と辞職を迫ったが、「安全性には矜持を持って現在取り組んでいるところです」とカルフーン氏は答え、年内は現在のポストを守る意向を示した。「安全性に対するプライドか?」と聞かれると「我々がとるすべての行動に対してです」とした。その答えに議員は「すべての行動に、ですか。わぉ」と呆れ顔だった。

*CNNによると、年内に辞任する際の退職金はさらに45ミリオンドル(約71億円)と見られている。ちなみに報道された今年の報酬51億8000万円を、筆者がわかりやすく時給換算したところ、時給270万円になった。

犠牲者157人の所持品が集められたエチオピア航空ET302便墜落現場。撮影日は2019年3月12日。
犠牲者157人の所持品が集められたエチオピア航空ET302便墜落現場。撮影日は2019年3月12日。写真:ロイター/アフロ

議会はすでに今年の航空法案を可決しており、18日付のポリティコは「この公聴会が具体的にどのような行動を導いてくれるのかについては不明」とした。

別の上院議員によると、各航空会社に対して議会での証言を求め、またボーイング社に対しても安全計画をまとめたさらなる文書の要求を今後も継続していく予定だという。

(Text by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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