一夜明け「アメリカも運航停止に」。トランプ大統領も心配する米最新鋭機
2つの飛行機墜落事故の共通点である、米ボーイング737マックス8型機の運航停止が世界中で広まるなか、運航を続行していたアメリカとカナダだけが昨日から世界で孤立している状態だった。しかしトランプ大統領は一夜明け、同型機の運航停止を命じた。
大統領が運航停止を指示した背景には、世界的な動きを受けて、ボーイング同型機の安全性に対する懸念が国内でも高まっていたことがある。
欧州航空安全局は、事故後の調査の早い段階で、「2つの航空機墜落事故が同じ原因により起こったという可能性は拭えない」とし、ヨーロッパ諸国の航空会社が所有する同型機の一時運航中止を、前日に表明していた。
トランプ大統領はホワイトハウスで3月13日、「緊急案件として、すべてのボーイング737マックス8型機と同737マックス9型機を運航させないように命じようとしている。現在飛行中の同型機については、目的地に到着次第そこで待機させる」と発表。
先にカナダがエアカナダ所有の同型機24機の運航を見合わせたことで、アメリカもこれに追随した結果となった。
世界中のマックス8型機の運航状況を示す、3月13日時点の最新情報はこちら。
一時運航停止はいつまで?
トランプ大統領は、運航停止の期限について具体的に発表しておらず、「further notice over safety concerns」(安全性について、さらなる通知があるまで)としている。
「飛行機が非常に複雑になり過ぎている」
大統領は前日の12日、自身のツイッターでこのようにつぶやいていた。
10年ほど前、私がメキシコの空港でランチをしていたとき、某米系の大手航空会社のフライトアテンダントとたまたまテーブルが隣同士になり、話をしたことがある。
飛行機がそんなに好きではないという私の友人に、フライトアテンダントのその男性は「先進国で生まれ育ったあなたがそんなことを言うなんて。私たちが生きているのは21世紀ですよ」と冗談半分で話し、笑い合った。
しかし、進化した飛行機でも車の自動運転でも、不具合(バグとでも言おうか)が発生した際に、手動でのコントロールが難しいほど物事が複雑になり過ぎているのであれば、21世紀というのはそれほどアドバンテージがある時代ではないのかもしれない。
(Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止