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久保建英の久々のゴールと、ソシエダの問題点。適材適所と役割の明確化で見据える未来。

森田泰史スポーツライター
競り合う久保とペドラサ(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

安定した強さが、ある。

レアル・ソシエダは、リーガエスパニョーラ第16節、ビジャレアルに3−0と勝利。久保建英は9月30日のアトレティック・クルブ戦以来、久々のゴールを決め、1得点1アシストと活躍した。

ビジャレアル戦で活躍した久保
ビジャレアル戦で活躍した久保写真:なかしまだいすけ/アフロ

「前半は、観衆にとって、素晴らしいものだった。両チームが、ゴール前まで接近していたからだ。プレッシングの場面で、我々には迷いがあった。複数の選手が疑問を感じながらプレーしていた」とはビジャレアル戦後のイマノル・アルグアシル監督の弁だ。

「だが我々がプレスのやり方を変えて、状況は良くなった。そして、我々は決定機をしっかりと生かした。ビジャレアルはそうではなかった。そこが、試合のキーポイントになったんだ」

■ソシエダの守備の形

ソシエダはポゼッションを得意とするチームだ。だがイマノル監督は守備を軽視する指揮官ではない。

ビジャレアル戦では、序盤にアレックス・バエナを捕まえきれず、苦労した。

ビジャレアルはマルセリーノ・ガルシア・トラル監督就任後、無敗を維持していた。マルセリーノ監督が嗜好する布陣【4−4−2】を基本システムにして、攻守においてソリッドでコンパクトなチームに変貌した。

ドリブルするバエナ
ドリブルするバエナ写真:ムツ・カワモリ/アフロ

そのなかで、重要な役割を担っているのが、バエナだ。バエナは3ラインの中盤で左に配置され、プレーメイカーとして攻撃を操る。

マルセリーノ監督は過去にもカルロス・ソレール(バレンシア時代)、イケル・ムニアイン(アトレティック・クルブ時代)とサイドハーフにプレーメイカーを置き、タクトを振るわせてきた。

その選手を如何にストップするかというのが、ソシエダのひとつの課題だった。

これはビジャレアル戦に限った問題ではなかった。今季のソシエダは、相手の起点、あるいは起点になるプレーヤーを抑えられていない試合で勝ち点を落とすパターンが多いのだ。

ビジャレアルは右サイドをジェラール・モレノが、左サイドをバエナが使う。中央にホセ・ルイス・モラーレスが構え、攻撃を形成していた。

イマノル監督は試合中に修正を施した。

CBの一枚(アリツ)を出して、バエナのマークに付ける。その相棒のCB(スベルディア)でモラーレスを封じて、ビジャレアルの余ったアタッカー(ジェラール)に対してはアンカー(スビメンディ)で対応した。

「後ろ」が定まれば、前からのプレッシングは嵌めやすくなる。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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