福岡はラーメンだけではなく焼肉も美味い

　福岡で愛されている料理といえば、もつ鍋、水炊き、焼鳥、うどん、そしてラーメンと数多いが、実は焼肉文化も古くから根付いており、街中や住宅街などには半世紀以上地元に愛されている人気焼肉店も少なくない。

　そんな肉の街、福岡で今注目を集めているのが「ネオ町焼肉」の新店たち。古き良き昔ながらのスタイルの焼肉店ながら、新しいアプローチで今までにない焼肉のスタイルを提唱している店が増えている。今回は、今食べるべき福岡の「ネオ町焼肉」の注目店を厳選した。

胃がもたれない大人のための焼肉『焼肉 わたなべ三十』

　今もっとも注目を集めているグルメスポット「春吉」の大通り沿いに、2021年11月にオープンした店が『焼肉 わたなべ三十（ミート）』（福岡県福岡市中央区春吉3-24-29）。一軒家店舗で、一階はカウンター、二階は個室とテーブル席。小さな店ながらも圧迫感はなく、デート使いも出来る雰囲気だ。

　店主の渡邉勇樹さんは長年人気焼肉店で経験を積んで独立。30代以上の方たちが翌日になっても胃がもたれないような、赤身やホルモンを中心にしたあっさりさっぱり焼肉を目指し、店名に『三十』とつけて「ミート」と読ませた。その狙い通りに30代以上の客はもちろん、ヘルシーさを求める若い女性客も多い。

　カウンターの中では渡邉さんが注文を受けるごとに肉を手切りする。厚みのあるカットが多いのは、噛み締めることで部位ごとの味をしっかり楽しんでほしいという思いから。その日ごとにおすすめの部位が異なるので、渡邉さんに相談しながらメニューを決めると良いだろう。

人気店が仕掛ける町焼肉の再構築『焼肉 ニューヨーコ』

　福岡屈指の人気焼肉店『焼肉すどう 春吉』は、フルアテンドでおまかせコースのみというスタイルの高級業態。そんな高級人気店が気軽に誰でも楽しめるカジュアル業態に進出。2021年4月に港エリアに『焼肉 ヨーコ』を出店すると、一躍予約困難の人気店に。その勢いのまま新たに激戦区春吉に殴り込みをかけた店が『焼肉 ニューヨーコ』（福岡県福岡市中央区春吉3-23-3）だ。

　店主の須藤悦男さんが目指すのは、東京にあるような昔ながらの「町焼肉の再構築」。『焼肉すどう 春吉』は洒脱な雰囲気の店舗で、炭火を使ってスタッフが一枚ずつ焼いていくスタイルだが、こちらは赤いテント地の屋根に真っ赤なテーブルに、ガスロースターが置かれて客自身が焼く町焼肉スタイル。しかしながら、肉の品質やカットなどは『すどう』のクオリティを維持している。

　厳選された黒毛和牛を贅沢にトリミングしたメニューの数々は、町焼肉とは思えないクオリティ。その肉を町焼肉スタイルでしっかりとタレの味を染み込ませていくことで、白飯が合うタレ焼肉の王道を貫いている。タン下をマヨネーズと合わせたり、締めにはキーマ風のカレーを提供したりと、ユニークなアプローチも楽しむことが出来る。

兵庫但馬牛を惜しげもなく使う『焼肉ホルモン人生 大ちゃん』

　福岡の市街地から車で15分ほど。東区馬出（まいだし）にある閑静な住宅街の一角に、2022年3月にオープンしたのが『焼肉ホルモン人生 大ちゃん』（福岡県東区馬出2-4-3）。一見、どこにでもあるような町焼肉店の風情ながら、提供される肉のクオリティがとても高く、早くも予約困難店になりつつある。

　店主の大山大鐘さんは、東京の人気焼肉店『神戸焼肉かんてき』で長年店長を務め、数々の人気店の立ち上げなどにも関わってきた人物。今回、独立して地元福岡東区へ凱旋出店を果たした。長年神戸ビーフを扱ってきたことから、この店で提供される肉は兵庫但馬牛がメイン。それを驚くほどリーズナブルな価格で提供している。

　肉はもちろん注文を受けてから手切りする。厚切りで提供される肉はレア気味に焼くのがポイント。融点が低い肉質のため脂の旨味も十分に楽しむことが出来る。最初の訪問ではおまかせの赤身肉とホルモンミックスの「大ちゃん盛り合わせ」がオススメ。稀少部位などは売り切れ次第終了となるので、早めの時間に訪問したい。

　今回ご紹介した３軒はいずれもオープンしたばかりながらも、すでに予約が取りにくい人気店ばかり。訪問する時はぜひ事前に予約してから行って欲しい。この３軒を食べて、福岡の焼肉のレベルが高いことをぜひとも体感していただきたい。

※写真は筆者によるものです。

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