シャビ・バルサの現状分析と戦術解明。ガビの「偽背番号9」配置と指揮官の算段。
判断が、難しい。
バルセロナの話だ。今季途中にロナルド・クーマン前監督を解任し、シャビ・エルナンデス監督を招聘してクラブは立て直しを図った。
将来有望な若手選手が出てきている一方で、それはある種の麻薬であると先のコラムで触れた。ただ、ネガティブな側面ばかり見ていてはいけない。シャビが来て、バルセロナがどのように変わったのか。それが重要だ。
とりわけ、今回は戦術的なところにフォーカスしたい。
■戦術的可能性
意外に思われるかも知れないが、私が戦術的な可能性を感じたのは、最近の試合で言えばエルチェ戦(3−2)である。試合自体は2点先行されながら追いつかれ、終盤のニコ・ゴンサレスの決勝点で何とか勝ち切るという展開だった。しかしながら内容は“バルサらしさ”が随所にあらわれていた。
「戦術的な話でいえば、我々はスペースへのアタックを考えていた。エルチェが4−4−2でプレーしてくると思ったので、我々のセンターバックの選手はボールを運ぶ必要があった。(ジョルディ・)アルバをインサイドハーフに、ガビをトップ下に置きたかった」
「フェラン(・ジュグラ)はタイプ的には9番というよりウィングの選手だ。そして、後半にはガビを彼の位置に据えた。ガビの特徴からすれば、中盤の選手だ。それでも、ガビは脱帽モノのパフォーマンスを見せた」
エルチェ戦後のシャビのコメントだ。指揮官の言葉を紐解きながら、シャビ・バルサ の形を明らかにしていこう。
■3−4−3のシステム
テア・シュテーゲン、ロナウド・アラウホ、エリック・ガルシア、クレメント・ラングレ、セルヒオ・ブスケッツ、フレンキー・デ・ヨング、ジョルディ・アルバ、ガビ、ウスマン・デンベレ、フェラン・ジュグラ、アブデ・エザルズーリ。この選手たちがスタメンを飾った。
【4−3−3】と【3−4−3】を使い分けてきたシャビだが、エルチェとの試合では【3−4−3】の色がより濃かった。
(バルサの3ー4ー3)
まず、相手の2トップに対して「3vs2」が作りやすい状況で、センターバックの選手がボールを運びながら中盤に侵入する。
(3対2の状況)
センターバックが中盤に侵入すれば、ミドルゾーンで数的優位ができる。ここで、アルバをインサイドハーフに、ガビをトップ下に配置するというのが効いてくる。加えて言えば、アンカータイプのブスケッツをワンボランチに据え置くという気遣いがあり、この辺りの細やかさというのをシャビは備えている。
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