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「最高の教師」東風谷葵役の當真あみ、「どうする家康」「大奥」ほか話題作で爪あと残す大型新人

武井保之ライター, 編集者
「最高の教師 1年後、私は生徒に◾️された」(日本テレビ系)公式サイトより

 今期連続ドラマの話題作のひとつ「最高の教師 1年後、私は生徒に◾️された」(日本テレビ系)が最終回を迎えた。オリジナル脚本のタイムリープサスペンスだが、毎話のストーリーは学校における生徒同士のいじめや教室ヒエラルキーのなかの対立をリアルに描き出し、生徒たちそれぞれの苦悩や葛藤が感情を揺さぶる秀作だった。

 学園ドラマでおなじみのフォーマットだが、本作には教師役の松岡茉優と問題のある生徒役が毎話1人ずつ対峙する芝居合戦に圧倒的な見応えがあった。学園ドラマといえば生徒役に無名の新人や若手俳優がそろい、ブレイクへの登竜門になるのが一般的だが、本作が特徴的だったのは芦田愛菜や加藤清史郎のほか、山時聡真、奥平大兼、詩羽、本田仁美など芝居ができて個性に富んだ役者陣がそろったことで、物語に奥行きと深みを与えていた。加えて、生徒に相対する側が教師だけでなく、生徒同士が感情をぶつけあうシーンにも見るものを引きつける力があった。

 そんななか、ストーリーのキーになる役柄を好演し、インパクトを残していたのが東風谷葵役の當真あみだった。東風谷は教室ヒエラルキーに無関心で距離を置く、勉強ができるクールな秀才だが、いじめに対して見ないふりをしていたことを後悔し、鵜久森(芦田)に特別な感情を抱く。そんな役どころを、表情や感情だけでなくその佇まいや雰囲気まで繊細に演じ、見事に東風谷という人物を体現していた。

 當真は沖縄出身の16歳。昨年1月期の「妻、小学生になる。」(TBS系)でデビューしたばかりの新人だが、日曜劇場「オールドルーキー」(TBS系)や「霊媒探偵・城塚翡翠」(日本テレビ系)へのゲスト出演のほか、ZIP! 朝ドラ「パパとなっちゃんのお弁当」(日本テレビ系)のヒロイン遠山千夏役、「大奥」(NHK総合)の龍役、NHK大河ドラマ「どうする家康」の家康の長女・亀姫役など多くのドラマに出演してきている。

 デビューからわずか2年弱で大河ドラマを含め8本のドラマに出演していることもそうだが、それぞれの作品でしっかりと印象を残しているところに、彼女の役者としてのポテンシャルを感じる。

 決して見た目が特別派手だったり存在にインパクトがあるわけではない。むしろどこの高校にもいそうな小動物形の愛らしいビジュアルイメージだが、ドラマのなかからは特別なオーラを放ち、見るものを引きつける。そこには、その役柄を理解し、その人物になりきる彼女ならではの資質があり、それが物語のなかで映えているのだろう。

 加えて、数多くのドラマが毎期あるなかで、話題作ばかりに出演している点、そのなかでも特徴的な役柄を担っている点が、彼女の存在感を際立たせている。主演クラスではないデビューしたばかりの若手がそういった役柄ばかりを選ぶのは難しい。

 所属事務所の作品選びというよりも、彼女自身の運や引きの強さがあるに違いない。それは芸能界でスターになるために必須の要素。その片鱗を見せはじめている新人・當真あみのこの先の活躍が期待される。

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ライター, 編集者

音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク専門誌などの編集者を経てフリーランスの編集者、ライターとして活動中。映画、テレビ、音楽、お笑い、エンタメビジネスを中心にエンタテインメントシーンのトレンドを取材、分析、執筆する。takeiy@ymail.ne.jp

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