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配信ドラマ、地上波ドラマとは異なるゴールと課題とは ディズニープラスとHuluトップに聞く

武井保之ライター, 編集者
「Hulu/Disney+ セットプラン」公式サイトより

 日本の動画配信市場におけるニューメジャーと呼ばれる大手プラットフォームのなかで、ディズニープラスとHuluがセット販売を7月にスタートして約2ヶ月が経った。

 2011年に日本上陸した老舗のHuluと、2021年日本ローンチと後発ながら圧倒的なブランド力でシェアを急拡大するディズニープラスによる異例の同業者競合同士のタッグは、どのような成果を生んでいるのか。

 また、地上波ドラマや劇場公開映画のような世の中的ヒットがなかなか生まれないオリジナル配信コンテンツが置かれる状況をどう見ているのか。Huluを運営するHJホールディングスの髙谷和男社長とウォルト・ディズニー・ジャパンの小林信一バイスプレジデントに、配信市場の現況を聞いた。

セット販売開始から2ヶ月の成果

ーー「Hulu/Disney+ セットプラン」開始2ヶ月の成果はいかがですか?

小林氏 具体的な数字は非公表とさせていただいておりますが、新規の会員様が増えています。お互いのコンテンツに重複がないので、コンテンツを多くご覧になる方が入られたことで、視聴時間が増えている傾向があります。

髙谷氏 セット販売後の会員数の伸びで明確に結果が現れています。興味深いのは、ファミリー向けコンテンツの視聴数が急激に伸びたこと。また、解約率が低く、長く使っていただける傾向がデータから見えており、まだ2ヶ月ですが事業効果が長く効いてくることを確信しています。

『ムービング』ディズニープラス 「スター」にて独占配信中(C)2023 Disney and its related entities
『ムービング』ディズニープラス 「スター」にて独占配信中(C)2023 Disney and its related entities

ーーグローバルプラットフォームによる日本オリジナルのローカルコンテンツ制作についてですが、昨今では一時期の状況から変わり、進行中の企画がストップしたり、新たな企画が通りにくくなっているという話を制作会社から聞きます。

小林氏 そういう認識はありません。ローカルコンテンツ制作チームがさまざまなところでお話ししておりますが、質の高いストーリーテリングをお届けするために、企画を厳選し、良い企画があれば進めていくのは変わりません。その時々によって注力するジャンルがあるかもしれませんが、われわれの大事にしている質の高いストーリーテリングをお客様にお届けするという考え方に立脚しながら、進めております。

 最近のオリジナル作品では、現在配信中の韓国ドラマ『ムービング』は非常に好評をいただいています。こちらもすでに報道されていますが、『ガンニバル』は主演の柳楽優弥さんがアジアコンテンツ&グローバルOTTアワードで最優秀主演男優賞にノミネートされており、作品として高い評価をいただきました。日本コンテンツは引き続き注力分野です。

髙谷氏 われわれのサービスは、常にユーザーの皆さまに還元し続けないと生き残っていけません。その還元とは、サービスのプロダクトでありコンテンツです。それを続けていくことが存在意義になります。

 最近では、山下智久さんが海外ドラマ初主演を務め、フランス、日本、イタリアを舞台に、大人気漫画『神の雫』を国際連続ドラマに生まれ変わらせた、Huluオリジナル『神の雫/Drops of God』が国内外で大変好評いただいております。当社はオリジナル制作をキャンセルすることはありませんし、これからも注力していきます。

世の中的なヒットにならない配信ドラマ

ーーオリジナルの配信ドラマや映画は、世の中的なヒットになりにくい現状があります。テレビドラマの視聴率や、映画の興行収入のようなわかりやすい指標がないため、ヒットが見えにくいのがひとつの要因かもしれません。配信コンテンツにおける話題作りやヒット作りをどう考えますか?

髙谷氏 われわれのいちばんの目的はユーザーの皆さまにご満足いただくこと。世の中の話題になることはもちろん目指すところですが、話題の大きさと数字の動向はまた別のものと感じています。短期間のゴールでなく、長期に渡って視聴を増やしていくところが、テレビと配信サービスの違いです。われわれはユーザーの皆さまの満足度を最優先にする事業者なので、ヒットの目的と結果に対する評価は配信サービス独自の指標になります。

小林氏 バランスです。(満足度をあげていくために)コツコツと良作で長く継続していただく方に入っていただくか、話題性の高いコンテンツを入れながら、堅調に成長を図っていく。そのバランスが大事です。

必ずしも配信先行ではなくなっているオリジナルコンテンツ流通

ーーAmazonプライムは東宝と映画『沈黙の艦隊』を共同制作し、劇場ファーストで公開した後に配信します。配信サービスのオリジナルコンテンツが必ずしも配信先行ではない時代に入っています。

髙谷氏 竹内涼真さん主演、Huluオリジナルのゾンビサバイバルドラマ『君と世界が終わる日に』はSeason5まであるうち、Season1全話を日本テレビの日曜ドラマ枠で放送しました。

 配信先行で1話を放送する取り組みはよくありますが、それとは違ってSeason1をまるまる地上波で無料放送することで、広く作品の魅力を伝えたいと思いました。さらにもっと楽しんでいただくために、続くSeasonを配信する。単なるプロモーションを超えて、メディアプランニングはどんどん進化しています。

小林氏 日本はひとつのコンテンツが劇場公開してテレビ放送をしても、SVODやTVODでご覧いただき、パッケージも購入いただける、世界のなかでも特殊なマーケットです。

 ディズニー作品においてもさまざまなウィンドウを通して、またディズニーのさまざまな事業のお客様とのタッチポイントのひとつとして、事業ごとの連携を取りながら会社全体で、魅力的なディズニーの物語をより多くのお客様にお届けする方法を探っています。そのなかで、日本テレビとHuluとのパートナーシップは重要なものになります。

ライター, 編集者

音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク専門誌などの編集者を経てフリーランスの編集者、ライターとして活動中。映画、テレビ、音楽、お笑い、エンタメビジネスを中心にエンタテインメントシーンのトレンドを取材、分析、執筆する。takeiy@ymail.ne.jp

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