甘党は知っておきたい、スイーツに定評のあるヒルトン東京で新しくなった2つのこと
ホテルの有名パティシエ
ホテルの有名パティシエと言えば、どなたを思い浮かべますか。
ざっと挙げただけでも東京近郊には、以下のようにたくさんの有名なパティシエがいます。
- パーク ハイアット 東京
エグゼクティブペストリーシェフ パスカル シャルデラ氏
- ハイアット リージェンシー 東京
ペストリー・ベーカー料理長 佐藤浩一氏、ペストリー シェフ 仲村和浩氏
- アンダーズ東京
ペストリーシェフ 岡崎正輝氏
- グランド ハイアット 東京
シェフパティシエ 後藤順一氏
- ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ
エグゼクティブ シェフ パティシエ 徳永純司氏
- コンラッド東京
ペストリーシェフ 町田桃子氏
- 帝国ホテル 東京
シェフパティシエ 望月完次郎氏、ショコラティエ 市川幸雄氏
- ホテルニューオータニ
グランシェフ 中島眞介氏、シェフパティシエ 鈴木薫氏
- ウェスティンホテル東京
エグゼクティブペストリーシェフ 鈴木一夫氏
- パレスホテル東京
ペストリーシェフ 窪田修己氏
- ザ・プリンスパークタワー東京
製菓料理長 内藤武志氏
- 京王プラザホテル
製菓調理長 穐山敏信氏
- 横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ
ペストリーシェフ 武藤修司氏
ここにヒルトン東京のパティシエが入っていないのを不思議に思う人は多いのではないでしょうか。
ヒルトン東京と言えば、ラデュレ出身のダビッド ギマレス氏がペストリーシェフを務め、数々の美しくておいしいスイーツを作ってきました。
しかし、実はこの2017年2月7日から、1979年生まれの播田修氏が新しくエグゼクティブペストリーシェフに就任したのです。
ヒルトン東京に新エグゼクティブペストリーシェフが就任
ヒルトングループにおいて旗艦ホテルであるヒルトン東京のエグゼクティブペストリーシェフを務めるのは並大抵のことではありません。
ヒルトン東京は、パティセリー「FILOU」では数々のスイーツを、<いざ!デザートブッフェは撮る時代へ>などで何度も紹介している「マーブルラウンジ」では革新的なデザートブッフェを提供しており、この2つだけでも季節毎に変えていかなければならないので大変です。これに加えて「メトロポリタングリル」、日本料理「十二颯」、中国料理「王朝」のデザートも考えなければなりません。もちろん、ホテルなので宴会やウェディングにも特別なデザートを用意する必要があります。
ヒルトン東京でこれらのスイーツ全てに責任を持つ播田氏は、どのようなパティシエなのでしょうか。
町場でもホテルでも修行
播田氏は2000年3月に東京製菓学校を卒業し、東京や横浜のパティスリーで研鑽を積んでから2005年9月にフランスへ渡り、M.O.Fのエリー・カゾゥシュス氏に従事して本格的なフランス菓子を学びました。
その後は<ナポレオン3世妃が愛した旧宮殿、ホテル デュ パレを帝国ホテルで味わう1週間>でも紹介したホテル デュ パレと同じ最上級ホテル「パラス」の称号を持つ「ル・ムーリス」でミシュラン3つ星シェフのヤニック・アレノ氏の薫陶を受けたのです。そこでは様々なデザートを担当し、アシェットデセールも得意の一つとしました。
帰国後は2011年から実家の徳島県にあるペストリーショップ「ナッツベリーファーム」でシェフパティシエを務め、その後でヒルトン東京のエグゼクティブペストリーシェフへと就任したのです。
受賞経験も多数あります。中でも、2006年にフランスで最も権威のある製菓コンクールのひとつである「ルレ デセール シャルル プルースト杯」で入賞、2009年に世界的な大会として有名な「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」のショコラ部門で入賞した経歴は素晴らしいでしょう。
播田氏は、町場でもホテルでも修行した経験があることに加えて、自身でパティスリーを切り盛りしてきました。
これだけの実力と経験があれば、多くの結果を求められるヒルトン東京においても素晴らしいスイーツを生み出せるのではないでしょうか。
ヒルトンらしいエレガントなスイーツを
播田氏は今回のエグゼクティブペストリーシェフ就任について、どのように考えているのでしょうか。
そう尋ねてみると播田氏は「ヒルトンはエレガントなホテルなので、前衛的であることに加えて、ヒルトンらしいエレガントさを表現するスイーツを創り出したい。季節に相応しい食材を使って、その時その時の最高のものをご提供する」とゆっくりと丁寧に答えます。
そして最近のスイーツについて尋ねると「見た目が非常に美しいものが多いが、おいしそうに思えるかどうかと言えば疑問がある。見た目が美しく、かつ、おいしそうに思えるものを作りたい」と見解を述べます。
大切にしていることについては「香りやテクスチャはおいしさの根源。3つくらいの食感を入れて、メリハリをつけて飽きないようにしている」と話し、得意なスイーツについては「スペシャリテはない。甘いものであれば何でも作れる。プティガトーでもアシェットデセールでも、これまでに様々なスイーツを作ってきたし、これからも変わらない」と自信を覗かせます。
播田氏のクリエーション
いつから播田氏のスイーツを食べることができるのでしょうか。
<人気爆発のストロベリーデザートブッフェを大総括、3つの傾向と楽しみ方>でも紹介したマーブルラウンジに関しては、「シルク・ドゥ・フレーズ」の次フェアとして「これまでのマーブルラウンジにはなかった新しいデザートブッフェを構想している」と期待を持たせ、「メトロポリタングリル」については「バレンタイン・ショコラディナーのアシェットデセール『ポムダムール』は総料理長フィリップと一緒に完成させたヒルトン東京における最初のクリエーションのうちのひとつ」と説明します。
播田氏が正式にエグゼクティブペストリーシェフに就任してから、ほとんど日が経っていませんが、総料理長フィリップ ルイ エガロン氏の美しい料理と合わせた播田氏のスイーツを既に楽しめるのです。
そして、実はこの「メトロポリタングリル」で行われている「バレンタイン・ショコラディナー」で提供されている全てのメニューにフランスの老舗「Weiss(ヴェイス)」のチョコレートが使われていますが、この「Weiss」はヒルトン東京と提携して日本に本格上陸したことで注目されています。
「ショコラブティック by Weiss」がオープン
播田氏のエグゼクティブペストリーシェフ就任よりも数日早い2017年2月3日に、「Weiss」と提携した「ショコラブティック by Weiss」が、「ショコラブティック TOKYO」からリブランドしてヒルトン東京1階に新しくオープンしました。
「Weiss」は1882年に創業したフランスで最も長い歴史のあるショコラティエのひとつで、チョコレートの地として知られていたフランス東部サンテティエンヌで誕生しました。
カカオ豆の選別、伝統的なガスを使った焙煎、粉砕などの作業を全て一貫して行うことに加えて、植物油脂や人工的な着色料や防腐剤を一切使用しないというこだわりを持っています。
カカオバターは100%純粋なものを使用し、アーモンドはスペインのバレンシア産、ヘーゼルナッツはイタリアのローマ産またはピエモンテ産が使われており、質の高いプラリネも有名です。
「Weiss」は長い歴史の中で培われてきた職人の技術や妥協のない品質へのこだわりが認められ、2014年にフランス最高技法の証である「フランスの無形文化財企業(EPV)」を授与されています。
日本には実に多くの海外のチョコレートが毎年新しく上陸していますが、「Weiss」の商品は日本ではほとんど販売されていません。しかし、「ショコラブティック by Weiss」では、14種類のタブレットを含む多くの「Weiss」の商品を扱っているのです。
さらには、播田氏が「Weiss」のチョコレートを使用して作ったグラススイーツやブラウニー、タルトショコラやチョコレートチップクッキーが販売されていることも注目です。
スイーツのヒルトン
ヒルトングループは「#ヒルトンスイーツ」と謳い、「おいしさだけではなく、そのマジカルな世界やビジュアルを通じて、普段決して味わうことのできないような時間と空間に浸ることのできるエクスペリエンス」を標榜しています。
おいしいことはもちろん、見た目や世界観にも驚きがあり、そして、SNSでシェアして自慢したくなるようなスイーツを提供することを目指しているのです。
バレンタインデーを前にして本格的な日本上陸となった「ショコラブティック by Weiss」オープンと、若くてクリエイティブな播田氏のエグゼクティブペストリーシェフ就任で始まったヒルトン東京の2017年は、いつもの年よりも一層、スイーツが話題となるのではないでしょうか。