人気爆発のストロベリーデザートブッフェを大総括、3つの傾向と楽しみ方
日本人が好きなイチゴ
この時期、日本で最も注目されていると言ってもよい食べ物はイチゴです。農研機構や太陽化学でも言及されているように、日本人は世界で最もイチゴを消費するほどイチゴが好きであり、200品種以上を開発したほどイチゴに対する情熱も深いのです。
その日本人が大好きなイチゴを使った様々なスイーツをたくさん食べられるということで、ストロベリーデザートブッフェが近年著しい人気となっています。
特にホテルのデザートブッフェは季節によってガラリと内容を変更するので、この時期はストロベリー一色となっているのです。
ストロベリーデザートブッフェを実施しているホテル
東京近郊では、ストロベリーデザートブッフェが以下の通り行われています。
- マーブルラウンジ@ヒルトン東京「シルク・ドゥ・フレーズ」
- ザ・テラス@ウェスティンホテル東京「ストロベリーデザートブッフェ 」
- 樹林@京王プラザホテル「アリス&ストロベリー!」
- セリーズ@コンラッド東京「オトナ苺ブッフェ」
- シースケープ テラス・ダイニング@ヒルトン東京お台場「Strawberry Forest~いちごの香りに包まれて」
- シェフズパレット@サンシャインシティプリンスホテル「いちごスイーツフェア」
- ラウンジ・オー@ヒルトン東京ベイ「ストロベリー・フィールド」
- ザ・ラウンジ@ホテルニューオータニ幕張「ホテルでいちご狩り」
- シーウインド@横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ「Red & Black」
- ソマーハウス@横浜ベイホテル東急「いちごジャーニー」
大阪でも最近では東京に負けず、どのホテルでもストロベリーデザートブッフェに力を入れています。
- ザ パーク@帝国ホテル 大阪「苺スイーツブフェ」
- SATSUKI LOUNGE@ホテルニューオータニ大阪「ホテルでいちご狩り」
- スプレンディード@ザ・リッツ カールトン 大阪「ストロベリー・コレクション」
- ノカ ロースト&グリル@インターコンチネンタルホテル大阪「ベリー!ストロベリー2017」
- チェッカーズ@ヒルトン大阪「ストロベリーデザートフェア」
- ル ドール@セント レジス ホテル 大阪「ラブ・ストロベリー」
- ロビーラウンジ@ハイアット リージェンシー 大阪「ストロベリーマニア~苺に恋する午後~」
誰にでも知られている有名なホテルや高級外資系ホテルでも行われており、数ヶ月先まで予約で満席となっているところも決して珍しくありません。
傾向
最近のストロベリーデザートブッフェの傾向はどうなっているのでしょうか。デザートブッフェ自体の傾向とも絡めると、以下の通りになります。
- 新しく始めるホテルが多い
- 東京よりも大阪の方が値段が高い
- 物語性が重要になっている
新しく始めるホテルが多い
デザートブッフェを新しく始めるホテルが多く、ストロベリーデザートブッフェを機会にして季節性のフェアを行うところも少なくありません。
東京では京王プラザホテル「樹林」が2014年10月30日にリニューアルオープンすると同時にデザートブッフェも開始しました。当初は季節のフェアを謳っていませんでしたが、2015年の春からストロベリーを全面に押し出したフェアを行って大ヒットし、それ以降はフェアを行っています。
ヒルトン東京お台場「シースケープ テラス・ダイニング」は2016年12月31日にオープンして、早速ストロベリーデザートブッフェを開始しました。
大阪では帝国ホテル 大阪「ザ パーク」が初めてのデザートブッフェを行うことになり、それが今回のストロベリーフェアとなっています。インターコンチネンタルホテル大阪「ノカ ロースト&グリル」は「スリーシクスティ」で行っていたデザートブッフェを発展的に引き継ぎ、より本格的なブッフェを行っています。
デザートブッフェは今やホテルの中で重要な要素となっています。そして、数あるデザートブッフェのフェアの中で最も人気のあるトロベリーデザートブッフェはさらに重要な位置を占めるようになっているのです。
東京よりも大阪の方が値段が高い
通常ホテルレストランに関して、東京は大阪よりも1割から2割くらい値段が高くなっています。しかし、面白いことに、ストロベリーデザートブッフェでは、大阪の方が東京よりも2割程度も高くなっているのです。
税・サービス料を含めた値段で、東京では4000円台が最も高い値段帯ですが、大阪では5000円台が少なくありません。
大阪のホテルレストランは東京に比べると、コストパフォーマンスが重要視されており、そのためお得感がある値段が設定されますが、ストロベリーデザートブッフェに関しては、大阪は東京よりもずっとラグジュアリー感をだしています。
この理由は、帝国ホテル 大阪、ザ・リッツ・カールトン 大阪、セント レジス ホテル 大阪、インターコンチネンタルホテル大阪など、大阪でも屈指の高級ホテルがストロベリーデザートブッフェを行っているからです。
イチゴの消費量は、関東の方が関西よりも多いですが、東京よりも高い値段が大阪でも受け入れられているということは、大阪人も十分にイチゴが好きであることの証左になるでしょう。
物語性が重要になっている
ストロベリーデザートブッフェも、単においしいイチゴを使ったスイーツを提供するだけではなく、物語性が重要となっています。
特に、日本におけるデザートブッフェの発祥でありながら、常に革新を続けているヒルトン東京を始めとするヒルトングループで、この物語作りを上手に行っています。
ヒルトン東京「マーブルラウンジ」は「シルク・ドゥ・フレーズと題し、<サーカスや移動遊園地をテーマに、ポップなストロベリーデザート>を提供し、ヒルトン東京お台場「シースケープ テラス・ダイニング」は<いちごの森に迷いこんだかのような甘い香りに包まれた空間>を、ヒルトン東京ベイ「ラウンジ・オー」は<苺畑をイメージしたブッフェ台に、お花やグリーン、色とりどりの小鳥たちをデコレーションし、春の訪れ>を表現しています。
ヒルトン大阪「チェッカーズ」は世界を旅する気分を味わえるようにし、<お洒落なフランスエリアには、ベルサイユをイメージしたタルトやマカロン>を、<オープンキッチンからできたてを楽しめるワイルドなアメリカンフードコーナーには、「焼きマシュマロ ストロベリースモア」>を、<赤い2階建てバスが走るロンドンの街角を模した一角には、英国人シェフおすすめの、クリームと苺ジャムをたっぷり乗せてお召し上がりいただく「イングリッシュ・スコーン」>を用意しています。
ヒルトングループ以外では、京王プラザホテル「樹林」が注目です。他に先駆けて行って人気を博した「不思議の国のアリス」フェアを、引き続きストロベリーデザートブッフェでもテーマに据え、<トランプ柄やチェシャ猫、ドリンク・ミーなどアリスをイメージしたスイーツブッフェで、不思議なこころときめくひととき>を過ごせるようにしているのです。
大阪ではまだ強い物語を感じられるストロベリーデザートブッフェは少ないですが、東京ではかなり物語性の重要度が高まってきているだけに、今後は大阪でも物語の創出が必要となってくるでしょう。
楽しみ方
多くのホテルで様々なストロベリーデザートブッフェが行われていますが、どのようにして楽しむのがよいでしょうか。
以下の楽しみ方をお勧めします。
- イチゴを食べ比べる
- 定番スイーツを食べる
- 作り手に注目する
それぞれについて詳しく説明しましょう。
イチゴを食べ比べる
ストロベリーデザートブッフェというだけあって、イチゴそのもの、もしくは、イチゴを使ったスイーツを好きなだけ食べられることは当然です。これだけではなく、中には色々な品種のイチゴを食べ比べられるところがあります。
ウェスティンホテル東京「ザ・テラス」、ホテルニューオータニ幕張「ザ・ラウンジ」、ホテルニューオータニ大阪「SATSUKI LOUNGE」では3種類のイチゴを、最初にイチゴの食べ比べを始めた横浜ベイホテル東急「ソマーハウス」では6種類ものイチゴを食べ比べられるのです。
イチゴを同時に何種類も食べることなど、普段の生活ではそうないでしょう。これを機会に、これまで選ばなかったイチゴを好きになったり、それぞれの食味や香りの違いを感じて楽しんだりするとよいと思います。
定番スイーツを食べる
イチゴを使った各ホテルの定番スイーツを食べるのもお勧めです。
ウェスティンホテル東京「ザ・テラス」のグラスをニ層に重ねたオーバーミックス・スイーツ「ミックスプリン ストロベリーソース」、クロッシュのようにグラスを被せて香りを閉じ込めた「イチゴのムース ローズマリーの香り」は、エグゼクティブペストリーシェフ鈴木一夫氏が考案した新しいスタイルのスイーツです。
帝国ホテル 大阪「ザ パーク」では帝国ホテル伝統のイチゴがたっぷりと使われた「苺のショートケーキ」を、ホテルニューオータニ大阪「SATSUKI LOUNGE」ではパイの重厚さを味わえる「ナポレオンパイ」を食べられます。
どのスイーツもそれぞれのホテルで人気を誇っているものであり、ストロベリーデザートブッフェで食べられる目玉であると言ってよいでしょう。
作り手に注目する
スイーツの作り手に注目してみるのも面白いです。ストロベリーデザートブッフェには力を入れているだけに、どのホテルのペストリーシェフも気合が入っています。
横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズのペストリーシェフ武藤修司氏は1995年にフランスの「コンクール アルパジョン ピエスアーティスティック」で優勝し、2006年には洋菓子のワールドカップとも称される「ワールド・ペストリー・チャンピオンシップ」で準優勝となったほどの人物です。
その武藤氏は2016年5月1日にマンダリン オリエンタル ホテル 東京から移ってきたばかりで、今回のストロベリーフェアがプロデュース第1弾となるのです。
セント レジス ホテル 大阪のペストリーシェフ伊藤慎二氏は、先に紹介したウェスティンホテル東京のエグゼクティブペストリーシェフ鈴木一夫氏の愛弟子です。
ウェスティンホテル東京「ザ・テラス」とセント レジス ホテル 大阪「ル ドール」で、似たようなストロベリースイーツがあるかも知れません。
「ル ドール」で行われているストロベリーデザートブッフェの方が値段が高いだけに比較してみるのも面白いでしょう。
ホテルニューオータニ大阪の総料理長である西口章二氏は<フレンチ復権のヒントか? 夏に注目したいホテルのフランス料理>でも紹介した、フランスで400年以上もの歴史を持つ「トゥールダルジャン」の世界初支店であるホテルニューオータニ東京店でスーシェフを務めました。
この西口氏がストロベリーデザートブッフェのために手掛けた「いちごサンド」は食べ逃せません。
デザートブッフェは女性が利用者の大半を占めるだけに、女性シェフにも注目したいです。
コンラッド東京「セリーズ」はオトナの女心をつかむ「オトナ苺ブッフェ」と題し、アルゼンチン出身の副総料理長ガブリエラ・ゴメス氏が監修してエレガントに仕上げています。
ザ・リッツ・カールトン 大阪「スプレンディード」はファッション・デザイナーという異色の経歴を持つオリアナ・ティラバッシ氏が料理長を務め、「ファッション」をテーマにしたユニークな切り口のストロベリーデザートブッフェを行っています。
ストロベリーデザートブッフェが重要となる
前回のストロベリーデザートブッフェでは、ヒルトン東京「マーブルラウンジ」は約5カ月の期間中にホテル全体で19トン(65000パック)のイチゴを使用して32000人以上が訪れ、ホテルニューオータニ幕張「ザ・ラウンジ」には20000人以上が、ホテルニューオータニ大阪「SATSUKI LOUNGE」には23000人以上が訪れました。
約2年前に<100年に1度のいちごイヤーを疑う>という記事で、イチゴ人気に疑問を呈しましたが、実施ホテルの増加や予約の満席状況、および、前回の数字から鑑みると、現在のストロベリーデザートブッフェの人気は確かなものです。
ホテルにとっては今後、クリスマスやバレンタインデーに続いて、ストロベリーデザートブッフェがますます重要なイベントになるのではないでしょうか。