霊媒師の女性に対する思想は「危険」黒人差別をめぐり波紋が広がる
ノルウェーのマッタ・ルイーセ王女と婚約を発表したばかりのシャーマン(霊媒師)が職業のデュレク・ベレット氏。
これまでも何度もノルウェーのメディアと対立してきたデュレク氏だが、早速ノルウェーで騒動が大きくなっている。
話題は「結婚に賛成か・反対か」ではない。
ノルウェーの人は王室メンバーが自由な恋愛をすることを尊重している。
問題となっているのは、婚約者の頭の中がどうなっているのか、理解不可能だからだ。
自分とプリンセスとの交際に批判が来るのは、「ノルウェーでの黒人差別が根深いから」と先日インスタグラムの動画配信で語った2人。
これに対して、ノルウェーでは「は?」という反応が広がっている。
2人が恋人同士だった頃は、国会議員らは「恋愛は自由」と見守っており、あまりコメントをしてこなかった。
だが婚約して、ロイヤルファミリーの一員となると、これからの霊媒師に対する目線は全く異なる。
すでに元首相など、複数の政治家が「黒人差別ではなく、彼の言動がおかしいからだ」「もうちょっと批判に耐えられる人になりなさい」と反論。
野党・自由党の副党首でもあるアビド・ラジャ国会議員は、かつて文化・ジェンダー平等大臣だった。
両親はパキスタン出身という背景もあり、ノルウェーでの宗教、差別、ムスリム、移民問題などで自身の体験も踏まえて現地での議論に参加してきた。
ラジャ国会議員は、デュレク氏が「人種差別カード」を引き出してきたことを好ましく思っていない。
ノルウェーではテロ被害者や差別などの体験がある人が、そのテーマの議論に参加する際に「〇〇のカードを出してきた」と言われることがある。
当事者の言葉は重いが、時と場合に配慮しなければ、「そのカードを議論のテーブルで出されると、議論がしにくい」ことも発生する。
ラジャ国会議員は、デュレク氏が「多くのパートナーとセックスした女性にはヴァギナに痕跡があり、私はそれを治療できる」と発言したことに、強い不快感を覚えている。
ノルウェーで騒ぎが大きくなっていることは本人も承知だ。
ベレット氏はノルウェーのメディアには直接コメントしないほうだが、今回はVG紙にも返事をしていた。
「この国に差別はない」と考える人はノルウェーにはまずいないだろう。
だがベレット氏は、驚くほどに、問題点の分類、批判と差別の区別をすることができないようだ。
恋人から婚約者になったことで、今まで黙っていた政治家もコメントし始めたことは、これまでとの大きな違いだ。
彼の奇妙な言動を本格的に危険視する声は増え続けるだろう。
ベレット氏とプリンセスはこれからも何らかの発言を続けるだろうし、騒動が沈静化することは当分なさそうだ。