豚骨ラーメンの新店を実食して厳選

　博多ラーメンや長浜ラーメン、久留米ラーメンなど、福岡は豚骨ラーメンの街として全国にその名が知られている。しかしながら、ここ数年は「非豚骨」「脱豚骨」の流れが加速化しており、豚骨ラーメン以外のラーメンを出す店が急増している。

　しかしながら、言うまでもなく福岡のラーメンと言えば「豚骨」。そもそも「非豚骨」というカテゴリが成立する街は福岡以外にはない。それだけ福岡の人にとって豚骨ラーメンは日常的な存在。福岡でラーメンと言えば豚骨なのは揺るぎない事実なのだ。

　そこで今回は、過熱する「非豚骨」ブームの中で敢えて豚骨で勝負する、期待の豚骨ラーメン店をご紹介したい。福岡に出来た新たな豚骨ラーメン店を実食して厳選。いずれの店も新店とは思えぬ完成度のラーメンを提供している店ばかりだ。

古き良き豚骨臭香るラーメン『大正軒ラーメン』

　警固交差点から大正通りを高宮方面へ歩いて数分。警固小学校の向かいに何ともレトロな外観の店があるが、2023年４月にオープンしたばかりの店。その名も『大正軒ラーメン』（福岡県福岡市中央区警固2-13-21）だ。こちらは同じビルにある焼鳥店『焼とり りりあ』が手掛けるラーメン専門店。コロナ禍で客足が遠のいた期間に人気ラーメン店で学び、オリジナルの豚骨ラーメンを完成させた。

　店の外にまで香る豚骨の熟成臭と醤油感の強めのスープが、古き良き豚骨ラーメンを想起させる。明治創業の老舗製麺所『青木食産』に特注した極細麺は、歯切れとしなやかさを併せ持つ。メニューは「ラーメン」一種類と潔いが、大判のチャーシューにワンタン、海苔に味玉まで乗る豪華版。これで一杯630円で提供しているのも驚きだ。

懐かしさと新しさが融合する『博多豚骨 一歩』

　春日公園に程近い、県道31号線沿いに2023年12月にオープンしたのが『博多豚骨 一歩』（福岡県春日市原町1-87）。駐車場を完備したロードサイド店で、創業直後から早くも人気を集めている。店主は人気ラーメン店で長年経験を積み、さらに別の老舗ラーメン店でも腕を磨いたキャリアの持ち主。自身の経験を注ぎ込んだオリジナルの豚骨ラーメンを提供している。

　白濁した豚骨スープは臭みのないスッキリかつクリーミーな仕上がりで、老若男女に好まれそうな味わい。しなやかな細麺は人気製麺所『製麺屋慶史』に特注したもの。古くからの博多のラーメンを思わせながらも随所に今を感じさせる、ネオノスタルジックな博多ラーメンだ。子供向けのサービスもあり、家族連れにもオススメ。明るく元気でキビキビとした接客も新店らしく清々しい。

鹿児島からの逆輸入豚骨『博多喜喜』

　キャナルシティ博多の目の前に、2023年12月オープンしたのが『博多喜喜（きき）』（福岡県福岡市博多区住吉1-5-1-1）。こちらは鹿児島で2012年に創業した人気博多ラーメン店の支店。系列店として2019年には『豚骨セワン』が開業しているが今回満を持しての進出。鹿児島で人気の博多ラーメンが福岡に逆輸入されてきた形となる。

　ほのかな甘みのある取り切り豚骨スープは唐辛子ダレがアクセント。しっかりと乳化しながらもしつこさはなく、食べやすい博多ラーメンという印象。バリエーションとして「黒」と「赤」も用意されており、その日の気分でラーメンのイメージを変えられるのも楽しみの一つだ。

　今回ご紹介した３軒は、いずれもオープンして間もない新店ながら、クオリティの高いラーメンを提供する店ばかり。福岡の地で脈々と受け継がれる豚骨ラーメンの歴史を担うであろう新店たちをぜひ体感して頂きたい。

※写真は筆者によるものです。

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