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製作委員会方式に風穴を開けるか 世界から投資を呼び込む日本発の映画製作ファンド設立へ

武井保之ライター, 編集者
岩井俊二、是枝裕和、白石和彌、西川美和、MAPPA、三池崇史らが参画する

“日本映画の新しい生態系をつくる”ことを掲げるK2 Picturesは、世界から投資を呼び込む日本発の映画製作ファンド「K2P Film Fund Ⅰ」を立ち上げることを発表した。

同社によると、ビジョンに賛同する是枝裕和、岩井俊二、白石和彌、西川美和、三池崇史、MAPPAら世界で活躍するクリエイターや制作プロダクションとの映画製作が進行中とする。

海外法人や国内の新しい投資家の参入を促す

「K2P Film Fund Ⅰ」は、スポーツ・エンタメ領域やファンド領域を専門とする弁護士や、エンタメ領域を得意とする会計事務所ビズアドバイザーズのサポートのもと、海外からの投資を想定した法律および会計基準に準ずるファンドになる。

これにより、海外法人や国内の新しい投資家が映画製作に参入しにくい、製作委員会方式による資金調達が主流になっている現状を変えていくことを掲げ、日本コンテンツに興味がありながら接点を持てなかった国内外企業の投資を積極的に呼び込むことで、日本映画界の活性化を促す。

同時に、本ファンドからクリエイターや制作に関わるスタッフへの利益還元の仕組みを取り入れ、多くの才能が映画産業に夢を持ち続けられる体制を整えていくことを掲げる。

カンヌ国際映画祭会場近くで世界の投資家へプレゼン

本ファンドについて是枝裕和監督は「30年映画を作ってきて感じていた既成の作り方への疑問や違和感をどうしたら改善できるか模索している途上で、この取り組みに出会いました。このチャレンジが成功して、映画界に良い風が吹き、新しい才能にチャンスが開かれる。そんな未来を実現しようとしている心意気に共感して、仲間に加えていただきました。共闘を楽しみにしています」とコメントを寄せる。

(関連記事:是枝裕和監督、映画チケット代1%の“共助”を拒む業界団体に言及「10年後は明るくない」

白石和彌監督は「日本の映画界に革命を起こし、見えない壁を壊してください。今までの日本映画では実現不可能だった企画や、突出したユニークな才能が生まれることを期待しています。私も並走して世界を驚かせる映画を作りたい」と期待を寄せる。

一方、西川美和監督は「K2 Picturesのファンドや新しい配給の仕組みは、危険な冒険にも思えます。実際、一筋縄ではいかないこともあるでしょう」と現実を見据えながら、「でもそれが映画作りだし、どうせ映画を作るなら私は冒険をするチームと組みたい。安全牌で固める発想ではなく、新しい人やきわどいものに必要十分な資金と環境で機会を作ることを目指す挑戦には、乗ってみる価値があると思いました」とコメントしている。

なお、K2 Picturesは『第77回カンヌ国際映画祭』会期中の現地時間5月18日、映画祭メイン会場に近いJWマリオット・カンヌにて世界の投資家へ向けたプレゼンテーションと記者会見を実施。西川美和監督と三池崇史監督が出席予定。

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ライター, 編集者

音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク専門誌などの編集者を経てフリーランスの編集者、ライターとして活動中。映画、テレビ、音楽、お笑い、エンタメビジネスを中心にエンタテインメントシーンのトレンドを取材、分析、執筆する。takeiy@ymail.ne.jp

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