Instagramインフルエンサーの影響力が下落?北欧ノルウェーの極端な議論傾向
インスタグラムでのインフルエンサーの影響力が低下している。
これは、ヨーロッパのインフルエンサー・マーケティング企業InfluencerDBによる調査内容だ。
2016年と比較すると、広告記事に対するエンゲージメント率は4%から2.4%に低下。広告ではない投稿に至っては、4.5%から1.9%に激減している。
trustinsights「Instagram Brand Engagement: The Latest Statistics」
北欧ノルウェーでは、インスタグラムやブログでのインフルエンサー議論が熱を帯びている。
ネット時代「新世代の有名人」に厳しい新聞記者たち
日本と異なり、ノルウェーの大手新聞記者たちは、インスタグラマーを「自分たちと同じように」、「社会への影響力に自覚を持ち、責任感をもつべき」と考える傾向にある。
日本の新聞記者は、恐らく若者インフルエンサーを、そもそも自分たちと「同レベル」とは考えていないだろう。
結果、ノルウェーでは大手既存メディアのインフルエンサー批判が、すさまじいレベルで展開される。
「大人のすることか」と呆れることもあるのだが、批判はもっとな時もある。
若い人が精神を病む原因?
外見美を押し付けるインフルエンサーにおいては、「若者のメンタルヘルスを悪化させている」として、注意喚起する傾向が激しい。
特に、
- 収入を税務署に報告していない人
- 整形手術のクーポンをシェアする人
- 企業から無料で商品を受け取っている・報酬をもらった広告記事だと明記しない人
- 渡航費や宿泊費を企業側に負担してもらっていると明記しない人
- 野菜だけの写真など、ダイエットを喚起するような小食の写真
- 肌の露出が激しい人
- お酒の広告に見えるような写真を投稿する人
- 自分の子どもの写真を投稿する親
インフルエンサーが社会に与えている「良い影響」なんて、もはやないかのようだ。
インスタグラムで影響力を増す人たちとは
良く評価されるとしたら、「美意識を押し付けるインフルエンサー」に対抗して生まれてきた、「真逆インフルエンサー」だ。
「ありのままの私たちが一番」というメッセージで、このような写真を投稿する。
- 編集・加工していない写真
- ぽっちゃりした体の写真
- 脱毛していない体の写真
- だらしない、普段の自分の写真
悩みがある若者の相談にのる「保健室のお姉さん」などもスナップチャットにいる。
このように、人助けしたり、若者のストレスを代表して声にあげる人は好評価される。
これまでとは真逆の、「メンタルヘルスに良さそうなインフルエンサー」は、さらに影響力を拡大中なのだ。
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若者を白黒で対立させる構造
ノルウェーでの議論でどうかと思うのは、「良い」か「悪い」かの、極端な分断をうんでいることだ。
ブロガーやインフルエンサーに対する批判はもっともな点も多い。
だが、そもそも既存記者などとは違い、手ほどきをしてくれる若者のための企業や組合は存在していなかった。
「間違いを許さん」ともするようなネット裁判の雰囲気は、大人げない。
また、メンタルヘルスに良いか悪いかという白黒の判断で、若いインフルエンサーたちを、テレビ番組や新聞記事で「対立」させている。
この構造で、ページビューや視聴率を稼ごうとする大人の行為こそ、どうだろうと私は思う。
- 「広告」だと切り分けられる若者
- 精神的ストレスを負わずにネットを活用する人
- ファッションや美容の写真を楽しむ人
このような意見は、大手メディアでは紹介されない。掲載されるのは、負のストレスを背負う若者だけだ。
「影響力を自覚せよ」という叩く風潮、今のノルウェーでは極端すぎる傾向もある。
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文・写真:あさきあぶみ(鐙 麻樹)