ノルウェーで性暴力支援センターの利用者が増加、背景に高校生ドラマ『SKAM』と世論変化
12日のダーグスアヴィーセン紙によると、ノルウェー・オスロの性暴力支援センターの利用者は2015年の440人から2016年の520人に上昇(2005年の利用者は226人)。昨年の6~10月にかけての利用者が特に多く、女性が多くを占めるという。
利用者増加の背景には、メディアでの議論、団体などによる啓発キャンペーン広告、世論の変化があげられている。強姦についての理解を深め、「話しやすい空気」をつくりだしたことが関係していると、ネスヴォル医師は同紙に話す。
利用者の52%は16~24歳で、性犯罪は若者がお酒を飲む現場で発生しやすい。日本と比較すると、ノルウェーでは子どもや若者は「責任をもって自己判断ができる人」として、早い段階で自立した人間として扱われやすい傾向がある。事実上、教育者や保護者が子どもを「自由にさせすぎている」一面もある。
保護者の目が届いていないところで、子どもたちが自宅などでパーティーをし、ビールなどを大量に摂取することもある。各地の警察がFacebookなどで保護者に対して「もっと子どもを見てほしい」と注意を促すのは毎年みられる傾向だ。
「強姦されたかもしれない」と一人で悩む場合も多い。すぐさま支援センターを利用することの重要性を若者に伝え、社会全体で性暴力をタブー化せず、話しやすい状況をつくりだすことが大事とされる。
ネスヴォル医師は、ノルウェーの高校生ドラマ『SKAM』は、人々がこのテーマについて議論しやすい、良いきっかけになったと評価。
ドラマでは高校生が親のいない場で大量に酒を摂取しているシーンが多く、それは「よくあるシーン」としてノルウェーでは受け入れられていた。このドラマの放送権利の購入に他国の業界関係者が当初ためらった理由のひとつも、まさにこの「多すぎる酒のシーン」だった。
同時に、シーズン2では主人公の女子高生が飲み会後に性暴力を受けたかもしれないエピソードが盛り込まれている。ドラマが発した社会問題の提起は好意的に受け止められ、現地の警察などにも絶賛された。
Text: Asaki Abumi