「恋愛は1対1とは限らない」恋愛している独身人口が男女で同一にならないワケ
大体3割
いつの時代でも、どこの地域でも、何の集団であっても、恋愛においてモテる層というのは大体3割程度で変わらない。これを「恋愛強者3割の法則」と名付けている。厳密にいえば、恋愛強者3割、中間層4割、恋愛弱者3割と3:4:3に分かれる。
それは、出生動向基本調査で、1982年から2021年までの約40年間の18-34歳独身男女の「恋人がいる率」の約40年間の長期推移を見ても明らかである。
「イマドキの若者は…」と言いたいだけのメディアや一部の識者と名乗る者は、昨今の少子化や婚姻減を若者の価値観のせいにしたいがために、「若者の恋愛離れ」や「草食化」などと言うが、全くの的外れである。
2002年以降のデータだけを恣意的に切り取って「ほら、随分と恋愛している若者は減ってるでしょ」などとこじつける御仁に至っては、まさに「数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う」の典型例だろう。
最新の2021年での「恋人がいる率」は、男性が21.3%だが、40年前の1982年も男性21.9%でほとんど変わっていない。女性に至っては、1982年よりも2021年の方が増えている。40年間で増減はあるものの、男女総合すれば、恋人がいる割合というのは大体3割程度である。
男女で10%差の理由
ところて、恋愛は原則1対1であるはずなのに、「なぜ、男女で10%ポイントも差がつくのか」と疑問に思うかもしれないが、それは生涯未婚率が男女で10%ポイントも差がついているのと同じ理由である(男28.3%、女17.8%・2020年国勢調査不詳補完値)。
ひとつは、出生性比の違い。元々、男児の方が女児より5%ほど多く生まれるが、現代では乳幼児死亡率が低く、そのまま成人するため、そもそもの絶対人口に差があること。
しかし、それでは半分の5%の差にしかならない。対象が18-34歳なので、35歳以上の年上と付き合っている女性もいるかもしれないが、それだけではこれほどの差は出ない。
割合ではなく、わかりやすく説明するために、実数の人口で見てみよう。
出生動向基本調査の各年の割合を、それぞれ国勢調査における年齢別人口と掛け合わせて算出した「年齢別恋人のいる人口」が以下である。
これを見ると、特に18-24歳という若い年代では全体的に「恋人あり」の人口は男性より女性の方が多くなっている。
では、その分25歳以上では男性が多いかというと、確かに、25-29歳では1990年まで、男性の方が多く、これは「20-24歳の女性と25-29歳のカップルが多かったのだな」と推定できるが、1990年代以降は、25-29歳での恋人のいる男女人口は同等であり、計算が合わない。2021年で約22万人の女性がダブっている。
一体18-24歳の女性のいう「恋人」とはどこにいるんだろうという話になる。
自由恋愛とはそういうもの
結論からいえば、これは、3割の恋愛強者による二股、三股交際である。
女性からすれば「なんで二股とかするわけ?」と思ってしまうかもしれないが、独身である以上法的な縛りはない。そもそも恋愛強者とは、呼吸するように恋愛をしてしまうし、本人の意図とか関係なく相手から好きになられてしまうものである。
それどころか、この中には、既婚男性が独身と偽った交際もあるだろう。
ちなみに、既婚者の浮気率も3割である。恋愛強者の3割は結婚しても浮気をしているケースが多い(バレているかどうかは別にして)。
参照→既婚者の浮気率は3割超え~男女にかかわらず浮気をする人の特性とは?
「恋人のいる率」と「恋人のいる人口」というものを年齢別に見れば、特に18-24歳の未婚女性の恋愛は「1対1ではない」可能性があるということである。
皮肉にも、そうした恋愛強者男性との恋愛を経験すると、残り7割の中間層と恋愛弱者男性との恋愛では満足できなくなっていく。二股、三股をかけられる人というのは、何度も同じような恋愛強者男性と付き合ってしまうことになりかねない。
そんな恋愛強者男にとってとても便利なツールがマッチングアプリである。実際、マッチングアプリ利用者は圧倒的に恋愛強者男性が多いのである。
参照→マッチングサービスなのに「会えた人数ゼロが3割」問題の背景にある残酷な現実
そうした「恋愛強者男性の無双状態」の影で、「いつまでたっても恋愛相手が見つからない」男性が増えていく。これが結果的に、未婚男女の大幅な「男余り」という形で顕在化する。
参照→未婚男性の「男余り430万人」の実態~もはや若者ではなくおじさん余りへ
「富を持つ者だけがより富を持つことができる」という経済の自由市場の原理と同様、自由恋愛というのは「モテる者だけがよりモテる」世界になる。
残念ながら、この世の中は平等ではない。
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