運命の王座戦第4局は11日に。藤井聡太七冠の王座戦での戦いをプレイバック
10月11日(水)に第71期王座戦五番勝負第4局が行われます。現在、挑戦者の藤井聡太七冠(21)の2勝1敗で、この第4局で永瀬拓矢王座(31)に勝利すれば王座を獲得して、全タイトル制覇、八冠に輝くことになります。
この記事では、今期の王座戦における藤井七冠の戦いを振り返ります。
挑戦者決定トーナメント
タイトル保持者である藤井七冠は、挑戦者決定トーナメントにシードで参加しました。
トーナメントの1回戦は5月10日(水)、中川大輔八段(55)との対戦でした。
この対局で藤井七冠は得意の角換わり腰掛け銀で素晴らしい指しまわしを見せて、挑戦権獲得に向けて好スタートを切りました。
2回戦は6月20日(火)、村田顕弘六段(37)との対戦でした。
この対局は、将棋ファンに語り草となる逆転劇が繰り広げられました。
『村田システム』に苦戦を強いられた藤井七冠は終盤で秘策を駆使し、最後には驚きの詰みを決めて勝利しました。
詳しくはYahoo!ニュースに書いた記事をご覧ください。
藤井聡太竜王・名人の逆転劇!八冠への希望をつないだ終盤の「棒銀」
そして、準決勝は6月28日(水)、羽生善治九段(53)との対戦でした。
過去に全冠制覇を成し遂げた経験のある羽生九段が、八冠制覇を目指す藤井七冠の前に立ちはだかりました。まるで漫画のようなストーリーです。
この対局では、羽生九段の猛攻を藤井七冠が凌ぐ展開になりました。
この局面で先手は△7八金の詰みを防ぐ必要があります。
藤井七冠は、▲6九玉△7八金▲5九玉△6八金▲4八玉と一目散に玉を逃げて優位を確立しました。
藤井七冠の受けの強さが光る一局で、羽生九段にチャンスを与えぬまま勝利しました。
挑戦者決定戦と五番勝負第1局の苦闘
挑戦者決定戦は8月4日(金)、幾度となくタイトル戦で激闘を繰り広げてきた豊島将之九段(33)との対戦でした。
この一局は、終盤で何度も形勢が入れ替わる激闘となり、今期の名局賞候補にあげられるであろう大熱戦でした。
詳しくはYahoo!ニュースに書いた記事をご覧ください。
将棋史に刻まれた藤井聡太七冠と豊島将之九段の激闘の跡。幻の変化に隠された「4連続妙技」
ここまでの戦いを振り返れば、挑戦権を得るまでの道のりが非常に険しいものであったことをお分かりいただけるかと思います。
そして迎えた王座戦五番勝負。相手は防衛を果たせば永世称号獲得となる永瀬王座です。藤井七冠と永瀬王座は研究パートナーであることが知られており、手の内をよく知った同士といえます。
第1局は8月31日(木)に行われ、先手番の藤井七冠は黒星を喫しました。
得意の角換わりを採用した藤井七冠は、リードして終盤を迎えましたが、攻め急いで好局をフイにしました。
この局面で藤井七冠は▲5二角成△同飛▲4三金と攻めましたが、永瀬王座の懐の深さに突破口を見出せず、一進一退の攻防の末に永瀬王座が勝利しました。
図では▲7二歩成△同飛▲5五銀と受けにまわって銀を助けるのが正解で、そう指しておけば藤井七冠に分のある形勢でした。
流れを引き戻した第2・3局。そして第4局へ
第2局は9月12日(火)に行われ、総手数214手という死闘を藤井七冠が制しました。
詳しくはYahoo!ニュースに書いた記事をご覧ください。
藤井聡太七冠の新たな挑戦。なぜ大一番で『右玉』を採用したのか
第1局で嫌な負け方をして、第2局では後手番という厳しい状況でしたが、藤井七冠は受けの強さで流れを引き寄せて勝利を手にしました。
第3局は9月27日(水)に行われ、藤井七冠が衝撃的な逆転で勝利しました。
永瀬王座が形勢を大きくリードして終盤を迎えましたが、藤井七冠が一瞬のスキをついて逆転に成功しました。
詳しくはYahoo!ニュースに書いた記事をご覧ください。
藤井聡太七冠の衝撃的な逆転劇。永瀬拓矢王座が「△3一歩」を選ばなかった理由とは?
これにより藤井七冠は通算2勝1敗とし、王座獲得まであと1勝と迫りました。
そして、10月11日に第4局を迎えます。藤井七冠の八冠制覇なるか、世間の耳目を集める一戦です。
第2局での死闘を制し、第3局では逆転で勝利した藤井七冠にシリーズの流れはきています。しかし、今回は永瀬王座が先手番であり、この一番に渾身の作戦をぶつけるはずです。藤井七冠は序盤から大変な戦いを強いられるでしょう。
ここまでの3局と同様に激闘が繰り広げられることは間違いありません。
対局は午前9時に開始され、終局は早くても午後8時、遅ければ午後10時頃を予想します。
様々なメディアで中継が予定されています。
歴史的な一戦をぜひリアルタイムでご覧ください。