パトリオットPAC-3でキンジャール6発撃墜、キーウ防空戦闘
2023年5月16日午前3時30分頃(現地時間)、ウクライナのキーウで大規模な防空戦闘が発生しました。ウクライナ軍の防空部隊はロシア軍の発射したキンジャールを6発撃墜するなど、弾道ミサイル、巡航ミサイル、自爆ドローンを含む複合攻撃を全弾撃墜したと発表しています。
Командування Повітряних Сил ЗСУ ウクライナ空軍司令部
- 空中発射弾道ミサイル「キンジャール」×6撃墜
- 巡航ミサイル「カリブル」×9撃墜
- 弾道ミサイル(または地対空ミサイルの対地攻撃)×3撃墜
- 自爆ドローン「シャヘド136/131」×6撃墜
- 観測ドローン「オルラン」「スーパーカム」×3撃墜
※弾道ミサイルは推定で「イスカンデルM」、地対空ミサイルの対地攻撃は推定で「S-400」。キンジャールやカリブルも含め、これらはレーダーで捉えた情報からの分析。
迎撃ミサイルの同時制御数の多さ
大量に撃ち上がる地対空ミサイルの映像の報告が複数あります。発射されているミサイルの同時制御数が非常に多く、西側が供与した新型の防空システムであると推定されます。この数はウクライナ軍の従来の旧東側製の防空システムでは出来ない同時制御数で、明らかに迎撃戦闘の質が変化しています。
ウクライナ軍に供与された新型の西側防空システムは「パトリオット」、「SAMP/T」、「NASAMS」、「IRIS-T SLM」などがありますが、キンジャール/イスカンデルのような弾道ミサイルと交戦可能な性能を持つのはパトリオットとSAMP/Tで、映像のミサイルはパトリオットの可能性が高いでしょう。
PAC-3迎撃ミサイルの残骸の発見
迎撃戦闘後にパトリオット防空システムのPAC-3CRI迎撃ミサイルの残骸が発見されたという報告があります(後部、前部)。PAC-3は弾道ミサイル防衛システムとして設計されており、ウクライナ軍への供与が初めて確認されました。これまでの公式発表では迎撃ミサイルについてはPAC-2用のキャニスターのみ確認されていました。
PAC-3CRIは従来型のPAC-3の性能そのままでの低コスト生産仕様になります。1基の発射機に最大16発を同時搭載が可能です。
キンジャールの残骸らしき物の発見
キーウの迎撃戦闘後に発見された残骸にキンジャールらしき物が発見されたという報告があります。実際に推定される直径がかなり大きな円筒形の残骸の一部で、巡航ミサイルや迎撃ミサイルの大きさではありません。弾道ミサイルの可能性が非常に高く、キンジャールないしイスカンデルの残骸であると推定されます。
おそらくこれは弾道ミサイルの固体ロケットモーター部分の外殻になります。
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