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参議院選挙での与野党党首の討論で話題となった「配偶者控除」、選挙後にどうなるか

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
配偶者控除に伴う「103万円の壁」はあるか(出典:政府税制調査会第3回総会資料)

7月10日投開票の参議院選挙が、6月22日に公示されるのを前に、テレビ番組で与野党党首が一堂に会して、「配偶者控除」をめぐり質疑応答があった。

9政党党首 物価高や男女賃金格差について議論(日テレNews)

岸田文雄自民党総裁(首相)は、配偶者控除そのものをなくすことは慎重でなければならない、と答えた。

泉健太立憲民主党代表と玉木雄一郎国民民主党代表は、配偶者控除に関して一時的に上限をあげることに賛意を示した。

実はこの議論の前の週に、その布石ともなるニュースがあった。6月15日に、内閣府から『令和4年版 男女共同参画白書』が公表された。そこには、女性の働く意欲を阻害しない制度にするべく「配偶者控除」の見直しを想起させる文言があった。それが報道されると、配偶者控除の見直しをめぐって賛否両論が巻き起こった。

配偶者控除の見直しに関する議論は、延々と続いている。その経緯については、

で詳述しているので、そちらに委ねるが、焦点は、

  • 配偶者控除が女性の働く意欲を阻害しているから、控除を縮小・廃止に賛成
  • 配偶者控除が減ると増税になるから、控除の縮小・廃止には反対

といったところが、いつもせめぎあっていて、賛否が割れて現状維持に流されやすい傾向がある。

では、実のところ、配偶者控除は女性の就労を妨げているのだろうか。

結論から言うと、論理的にはそれはない。

女性の就労を妨げる最大の要因は、「壁」である。「壁」とは、「手取り所得の逆転現象」のことである。手取り所得の逆転現象とは、課税前所得を1万円増やしたのに、天引きされた残りの手取り所得(可処分所得)が逆に減ってしまう、という現象である。

この「壁」は、冒頭の図のように、106万円や130万円のところには現に存在する。つまり、「106万円の壁」や「130万円の壁」は顕著にある。その図をより詳しく見ると、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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