2023年に注目すべき 千葉の豚骨ラーメン「新店」3軒
千葉には古くから豚骨ラーメンの文化がある
千葉県は三方を海に囲まれ山もある自然豊かな風土で、海の幸や山の幸が揃う食材の宝庫として知られているが、ラーメン文化も古くから根付いている県である。内房で広く愛されている「竹岡式ラーメン」をはじめ、外房には「勝浦タンタンメン」など、県外にも知られるご当地ラーメンも少なくない。
そんな千葉県だが実は豚骨ラーメン店も数多い。高度成長期の1960年代、北九州から巨大製鉄所が君津市に移転して来た際に多くの九州人が流入し、豚骨ラーメンの文化が導入された。今でも木更津や君津界隈には古き良き九州の豚骨ラーメンを提供する店が点在している。
毎年いくつもの新店が誕生し、同じ数だけの店が廃業するラーメン業界。飲食業界の中でもライバルが多い厳しい世界だが、長引くコロナ禍の中であっても数え切れないほどたくさんのラーメン店がオープンしている。その中で、今回は千葉県の豚骨ラーメンに注目し、2023年にますます人気が上がっていくであろう注目の店をご紹介したい。
久留米の老舗の味を継ぐ『三代目 沖食堂』(2022年4月オープン)
創業は1955(昭和30)年と、70年近い歴史を誇る福岡県久留米市の老舗『沖食堂』の暖簾分け店が、2022年4月木更津にオープン。オーナーは久留米出身で自分の好きだった沖食堂の味を継ぎたいと、沖食堂が代替わりのタイミングで勇退される二代目に直訴して暖簾分けを許されたのが『三代目 沖食堂』(千葉県木更津市金田東5-4-1)だ。
豚骨と鶏を羽釜で炊いて「呼び戻し」製法で仕上げるスープは、ほのかに香る熟成臭が食欲を喚起する。麺も本店同様に『久留米製麺』製の専用麺を使う。関東向けにローカライズされることのないストレートな久留米のままの味わいで、替え玉もバリカタもない、古き良き久留米ラーメンを楽しむことが出来る。焼き飯や名物の「ピースおにぎり」も一緒に楽しめば完璧だ。
背脂が浮く関東風とんこつ『二代目 五衛門』(2022年11月オープン)
2022年11月、学生の街である西千葉にオープンした『二代目 五衛門』(千葉県千葉市中央区春日1-20-7)は、千葉県茂原市に本店を構える『関東風とんこつらーめん 五衛門』の二代目が厨房に立つ新店。基本となる豚骨醤油ラーメンを中心に味噌や塩、つけ麺など豊富にメニューを揃えている。
茂原の地で長年愛されてきた「関東風とんこつ」の味をブラッシュアップしたラーメン。豚骨をベースに鶏ガラや丸鶏などを使った白濁スープに、まろやかな甘みのある醤油ダレ。そこにきめの細かな背脂が浮くことでさらに甘さとコクが加えられている。かつてブームとなった背脂ラーメンの復権を予感させる一杯だ。
超濃厚で破壊的な豚骨『戯拉戯拉』(2022年12月オープン)
人気ラーメン店がひしめき合う学生街、習志野市大久保に2022年12月オープンした『戯拉戯拉(ぎらぎら)』(千葉県習志野市大久保3-12-11)は、人気店『麺屋あらき』による豚骨ラーメン業態。船橋に本店を構えているが、大久保ではさらにワイルドなラーメンを提供して注目を集めている。
豚頭骨、ゲンコツ、背ガラに鶏ガラを半日かけて炊いたスープは、県内はおろか全国でも屈指の高濃度を誇る。合わせる油はメニューによって鶏油や麻油、辣油などを使い分けるが、チャレンジして欲しいのが背脂。超濃厚な豚骨スープに背脂を加えたインパクトは唯一無二。骨味のするスープに背脂が自家製太麺と絡みまくる快感を楽しもう。
千葉には数多くの豚骨ラーメン店があるが、今回ご紹介した3軒はいずれも新店ながらもその実力は折り紙付き。2023年の千葉のラーメンを語る上で、欠かすことの出来ない店ばかりだ。同じ豚骨ラーメンでありながらも個性は全く違うので、ぜひ3軒とも食べて自分好みの味を見つけて欲しい。
※写真は筆者によるものです。
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