皇居に近い名門ホテルでさえもコロナ禍で営業終了! 改めて振り返る3つの特長
ホテルグランドパレスが営業終了へ
1972年2月20日にオープンしたホテルグランドパレスが、2021年6月30日をもって営業を終了することになりました。
ホテルグランドパレスは、千鳥ヶ淵の近くにあるホテルで、最寄り駅は九段下。徒歩1分程度と非常にアクセスがよいです。飯田橋駅からも歩いて行くことができ、7分くらいで到着できます。
2020年末にホテルの関係者から翌年6月30日に営業休止することを教えてもらっていました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着かず、緊急事態宣言も再び発出されたことによって、営業休止ではなく営業終了という苦渋の決断に至ったということです。
年が明けてから、歴史のあるホテルや飲食店による閉店が続いています。
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ホテルグランドパレスも大変素晴らしい個性的なホテルです。食を中心にして改めて振り返ってみましょう。
桜と共に過ごせる
ホテルグランドパレスを紹介する上で欠かせないのが、桜と関連が深いホテルであるということです。皇居や千鳥ヶ淵から近く、花見をしてからホテルでお茶を飲んだり、宴会や食事会が行われた後に花見をしたりというコースはとても定番でした。
桜をイメージしたプロモーションも全館をあげて行われており、たとえば2020年は「PINK SENSATION」と題され、フレンチのメインディッシュ「フランスシャラン産鴨胸肉のロティ チェリーコンポート添え」や日本料理の「桃色ちらし」、さらにはカクテルの「乙女椿」など、様々なメニューが提供されていました。
スイーツも充実しており、特に色合いが美しい「さくらロール」は人気の一品だったように思います。ホテル最上階から千鳥ヶ淵の桜を眺められる、ライブ感が豊かな「Sakuraブッフェ」も人気でした。
日本武道館もすぐ近くにあるので、イベントの前後に多くのゲストが訪れていました。現在はイベントが激減している状況なので、ホテルを訪れるゲストが少なくなっていたことは想像に難くありません。
桜と共にホテルグランドパレスで過ごすという楽しみ方は、今年で最後となります。
料飲施設が充実
料飲施設も非常に充実しています。
・フランス料理「クラウンレストラン」/23階
・鉄板焼「千鳥」/23階
・カクテルラウンジ「クラウンラウンジ」/23階
・レストラン&カフェ「カトレア」/1階
・ケーキ&ベーカリー「ジュリー」/1階
・広東料理「萬壽苑」/地下1階
・日本料理「千代田」/地下1階
クラシックな正統派フレンチからモダンな広東料理、日本料理に鉄板焼、さらにはオールデイダイニングやホテルショップ、カクテルラウンジと非常に幅広いです。日本料理「千代田」の中には独立した寿司と天ぷらのコーナーもあります。
23階はホテル最上階ですが、この最も価値が高いフロアにフランス料理「クラウンレストラン」、鉄板焼「千鳥」、カクテルラウンジ「クラウンラウンジ」といった料飲施設が設けられていることから鑑みても、食に力を入れたホテルであることがわかるでしょう。
「クラウンレストラン」では舌平目のボンファムやパイ包み焼きやロッシーニといったクラシックな料理が出色でした。
「千鳥」では各地の黒毛和牛を楽しむことができましたが、魚料理も素晴らしかった記憶があります。伊勢海老のソテーに開業以来伝統のニューバーグソースを添えたり、アワビとタラバガニを贅沢に取り合わせたり、うなぎのご飯を炊いたり、長崎県平戸産ウチワエビを味噌汁に用いたりと、様々なアイデアが見かけられました。
「カトレア」はオールデイダイニングながらも、2016年8月にリニューアルしたブッフェが大人気。迫力のある実演コーナーやオープンキッチン、独立したスイーツコーナーが好評でしたが、コロナ禍で真っ先に影響を受けてしまいました。
「萬壽苑」はプレゼンテーションもモダンですが、外資系ホテルでは楽しめないフカヒレの姿煮といったクラシック料理が絶品です。
「ジュリー」は先に挙げた「さくらロール」以外に、「オレンジケーキ」や「アップルパイ」や「マロンシャンテリー」といった定番スイーツがよく知られています。
プロモーションが個性的
充実している料飲施設は、プロモーションも個性的で非常にこだわりがありました。
全国漁業協同組合連合会が推進する「漁師が選んだ、本当においしい魚」=「プライドフィッシュ」のフェアが、2016年から全館で行われていたことは特に印象に残っています。日本の大切な資源である魚介類および生産者に焦点を当てたプロモーションで、青森県の陸奥湾ほたて、静岡県の伊豆の地きんめなどを紹介してきました。
「クラウンレストラン」では全国の食材を巡るフェアが実施されていたり、「千鳥」ではカリフォルニアワインの父とされるロバート・モンダヴィとコラボレーションしたりと、クラシックホテルにしては非常に新しい試みを行ってきたように思います。
コロナ禍の後に、どのような新しいプロモーションが行われるのかと楽しみにしていたゲストは、私だけではないはずです。
ホテルや飲食店に訪れてもらいたい
ホテルグランドパレスは約半世紀にわたり、東京の中心地にあって存在感を示してきました。古くからの顧客を有するホテルグランドパレスでさえも、厳しい状況を迎えることになったのは残念であり、驚きであるとしかいいようがありません。
6月30日までは営業が続いているので、思い入れのある方は最後に是非とも訪れていただきたいです。
大手飲食店予約サービス「TableCheck」の調査によると、緊急事態宣言から1ヶ月が経過し、テイクアウトは2.7倍となっているものの、客足は7割減になっているといいます。
これまでの記事でも述べていますが、緊急事態宣言の期間中なので自粛する必要はありますが、大手であればあるほど、現在の協力金では全く足りません。そして、ホテルや飲食店が営業終了を決断してから訪れるのでは遅いです。
新型コロナウイルスの感染対策もしっかりとされていることがほとんどなので、可能な範囲内で恐れず、ホテルや飲食店にできるだけ足を運んでもらいたいと思います。