春ドラマ前半、見続けたい5+1本『季節のない街』『Believe』『366日』『約束』『アンチ〜』…
見応えのあるクオリティの高いドラマが多い。ドラマファンにとって近年稀に見る充足感がありつつ、毎週追いかけるのに忙しいクールになった春ドラマ。
そんななか、4月のスタート時点で見続けたいドラマは、おもしろい順に『季節のない街』『Believe』『366日』『約束 ~16年目の真実~』『アンチヒーロー』。加えて、今週で終了するが、NHK夜ドラ『VRおじさんの初恋』の人間模様に毎話引きつけられた。
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良作が出揃う一方、突き抜けた作品がないサスペンス系
今期はとくにサスペンス系のドラマが多く、それぞれ話題性は高いほか、まったく外しているハズレがない一方、突き抜けておもしろいストーリーの作品もない印象。そんななかで頭ひとつ抜けているのが木村拓哉主演の『Believe』。
建築中の橋が崩落し死者が出る大事故が起き、橋の設計責任者だった主人公が有罪判決を受けて刑務所に収監される。そこから真実を公にする闘いがはじまるドラマだが、既視感のない設定にまず引かれる。この先の展開への期待値がいちばん高いドラマだ。
ほかサスペンス系では、16年前の連続殺人事件の謎が現在の殺人事件につながる『約束 ~16年目の真実~』がストーリーの奥行きを感じさせ、物語の温度感も含めて骨太なサスペンス感がある。
一方、序盤でいまひとつ主人公のキャラクター性がつかめず、ストーリーの引っかかりが弱いのが『アンチヒーロー』。ただ、この先の展開次第では今期の話題作に化けそうなポテンシャルもある。
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災害から12年を経た仮設住宅の人々の笑いと涙の人生
今期もっとも感情を揺さぶられるのが『366日』。すれ違いを繰り返した12年越しの思いがようやく通じて付き合いはじめた2人だが、最初のデートの日に男性が事故で重傷を負い、目覚めるかわからぬ意識不明の状態が続く。彼の家族と、2人を取り巻く友人たちの愛と絆のストーリーに、毎話涙を誘われる。
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『季節のない街』は同名小説(山本周五郎著)を原作に宮藤官九郎が脚本を手がけた青春群像劇。災害から12年を経た仮設住宅でいまも暮らす個性豊かな人々の人生を笑いと涙で描く。
これまでにも常に震災を伝えてきたクドカンの真っ直ぐなメッセージが突き刺さる作品でもある。基本的に楽しさが全面に表れるが、ときに切なく、その根底には悲しみと痛みがある。今期No.1の注目すべき作品だろう。
そして『VRおじさんの初恋』がおもしろい。近年のNHKは、大枠のテーマは変わらないはずの朝ドラと大河ドラマが物語によって当たり外れの振り幅が大きいのに対して、夜ドラはテーマやジャンルが多岐にわたる一方、作品のクオリティが安定し、おもしろい物語が続いている印象がある。枠のファンも育っているのではないだろうか。次の作品にも注目したい。
ちなみに、筆者は『心はロンリー 気持ちは「…」 FINAL』(フジテレビ系)がめちゃくちゃおもしろかった側です。
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