バカリズムへの期待が反作用? 『イップス』は気楽に楽しむコメディ 第1話はマッチョだった裸に目がいく
脚本家として辣腕を振るい、昨年の『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)ではドラマ界に旋風を巻き起こしたバカリズム。ドラマファンから熱い注目を集めるなか、演者として参加するフジテレビ金9ドラマ『イップス』が放送された。
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サウナシーンで脱いだバカリズムに視線が釘付け
篠原涼子とバカリズムがW主演する本作は、小説を書けなくなった女性ミステリー作家と、頭は切れるが犯人を前にすると動けなくなる捜査一課エリート刑事という迷バディが事件を解決するミステリーコメディ。
“絶不調バディが絶妙会話術と掛け合いで事件を解決する”というドラマ設定とキャスティングは絶妙で楽しみにしていたが、その内容はというと、第1話でもっともインパクトがあったのは、冒頭のサウナシーンで脱いだバカリズム。
芸人としてのネタなどから、文化系オタクっぽいどちらかというと陰キャのイメージがあるが、けっこうなマッチョ。肉体的にも捜査一課エリート刑事という役柄にしっかりと成り切っていたボディが気になり、つい目がいってしまった。
バカリズム出演によって高まる会話劇のハードル
一方、本作の見どころと謳う“会話術と掛け合い”は、ふつうだった。篠原涼子演じる作家がグイグイいくわりに、拾う小話やあるあるのたとえが弱く感じられ、「そこを突くか」という刺さってくる感じがいまひとつ得られなかった。
たとえば、サウナのロウリュとアウフグースの違いネタや、ネットのアンチアカウントが自分だとバレるくだり、人気熱波師・電撃ウィッチ麻尋のフルネーム呼びの被せなど。笑いが生まれないわけではないが、バカリズムの書くお笑いネタや脚本を待っていると、インパクトに欠けてしまう。
この部分では、バカリズムの出演が反作用していることがあるかもしれない。視聴者にはバカリズムのネタや脚本のファンが多いだろう。彼が出演していることで、お笑いの毒舌または自虐のネタや、『ブラッシュアップライフ』のようなさりげなく芯を食うトークを連発してくる会話劇を期待し、ハードルが高くなっていることがあるだろう。
ツッコミどころ満載だがそれは置いといて楽しむドラマ
本作は、いわゆるドラマファンが考察しながら楽しむドラマとはジャンルが異なる、シチュエーションコメディやストーリーコメディといった楽しみ方のドラマになる気がする。
物語設定やストーリー、事件のトリックなどにツッコミどころは満載だが、それは置いといて“コメディ要素を気楽に楽しむ”という共通認識のもとに、おもしろく楽しむドラマになるだろう。
第1話は拡大スペシャルで1時間10分の放送だったが、体感は2時間くらいあったかもしれない。本来は30分くらいの尺が集中力を保って楽しく見られるスタイルのドラマという気もする。
ともあれ、第2話からは毎回さまざまな事件が起きる。場数を踏んで迷バディがどう進化していくかが、これからのひとつの見どころになるだろう。化学反応を起こして大化けしそうなポテンシャルを感じる2人だけに、まだまだ見続けていかないといけない。
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