「攻撃的」なアトレティコと「保守的」なシメオネに生じる矛盾。
魅力的なフットボールを、展開している。
アトレティコ・マドリーの話だ。今シーズン、いや昨シーズンの半ばからアトレティコのプレースタイルは変わった。単に「守って勝つ」のではなく、きちんとボールを保持し、「攻めて勝つ」試合が増えたのだ。
そのような期待感を持って、リーガエスパニョーラ第15節バルセロナ戦を迎えた。だが、我々は裏切られた。
無論、対峙したのはバルセロナだ。簡単な相手ではなかった。
アトレティコはディエゴ・シメオネ政権においてアウェーのバルセロナ戦で勝利したことがない。敵地カンプ・ノウ(モンジュイック含む)で17回対戦して、7分け10敗という戦績だ。また、アウェーのバルセロナ戦においては、常にアトレティコのポゼッション率が50%を下回っているというデータがある。
■アトレティコの攻撃性
ただ、まずは「攻撃的な」アトレティコにフォーカスしたい。今季はアルバロ・モラタとアントワーヌ・グリーズマンが好調だ。
モラタ(公式戦18試合12得点)、グリーズマン(19試合13得点)はシメオネ・アトレティコでゴールを量産している。欧州5大リーグで、彼ら以上のコンビはバイエルン・ミュンヘンのハリー・ケインとレロイ・ザネくらいしか思い当たらない。
今季開幕前の段階で、モラタとグリーズマンの2トップはシメオネ監督のファーストチョイスではなかった。昨冬の移籍市場で加入したメンフィス・デパイとグリーズマンの相性が良く、シメオネ監督としては、そちらに信頼を置いていた。
実際のところ、この夏、モラタには移籍の噂が絶えなかった。ローマ、ユヴェントス、またサウジアラビアの複数クラブがモラタを狙っていた。
だがモラタは残留を決意した。「彼には、『ラ・リーガで18ゴールを決めるように』と言ってある」と冗談交じりに語るのはシメオネ監督だ。
「モラタはこれまでのシーズンもゴールを決めてきた。その数字(18得点)を達成してもおかしくない。だからこそ、彼に要求しないといけない」
「モラタは以前より落ち着いているね。我々にとって、重要で、決定的な選手になろうとしている。我々にとっても、スペイン代表にとっても、そういう選手になってきている」
■グリーズマンとライン間でのプレー
調子が良い2トップを擁している。問題は、そこにボールを入れられるかどうかだ。
この記事は有料です。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバーをお申し込みください。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバー 2023年12月
税込550円(記事7本)
2023年12月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。