人生に妥協しない!戦略的な「妥協」の仕方
■無駄な努力はすべきではない
「どうしても我慢ならなかったので、社長に言ってやりましたよ」
ある部長から、吐き捨てるような感じで、このような愚痴を聞かされた。
「言い出したら、絶対に他人の言うことを聞かないんだから!」
この部長は、このとき、かなり怒っていた。衝動のコントロールができないでいた。だから私は適当に相槌を打ち、その場をやり過ごした。
しばらくしてから、このときのケースに触れた。
「あれから、どうなりましたか?」
「あれって? 何が? もちろん、社長の言うことに逆らう人間なんて、社内に私しかいないですから、社長の思い描いたとおりに進んでいますよ」
と、事もなげに言う。
「はじめから、わかっていたことです」
以前と変わって、表情に清々しさまで見てとれる。
「そうでしたか」
そうだろうなと思いながら、私は心の中で大きなため息をついた。そしてこう心で叫んだ。
(だったら、どうして社長に歯向かったのか)
無駄だと思っても、一矢報いないと気が済まないからなのか。ハッキリ書きたい。そのような無駄な努力をすべきではない。完全なるエネルギーの無駄遣いだ。
■「意志力(ウィルパワー)」を深く知ろう!
ケリー・マクゴニガル氏の世界的ベストセラー『スタンフォード 自分を変える教室』で注目された「意志力(ウィルパワー)」。
まず「意志力」について、最低限の知識は持つべきだ。
「意志力」は人それぞれ限界があり、使えば使うほど消耗すると言われる。「時間」と同じだ。
1日は24時間しかない。この24時間の中で、私たちはどれだけのことができるだろうか。あれもこれも手を出していたら当然すべてが中途半端になってしまう。だから、どれかやるべきことを選択し、そして集中できるよう、そこに時間をかけるべきなのだ。
これは「意志力」も同じ。
先日ある部下が、社長である私に対して企画書を提出したいといって、美しいプレゼン資料をつくって持ってきた。
私は常々「何かやりたいことがあれば、口頭で言ってほしい。もしくはメールにテキスト文で書いてほしい」と言っているのだが、その指示を守らなかった。
私が目にしたのは、グラフや図表も取り入れた、見栄えのいい企画書だった。しかし企画のアイデアに欠陥があったので、私は「一からやり直し」と言って、その企画書を突き返した。
「努力は認める」と言う人がいる。
そういう人は、
「努力は認めるが、企画のアイデアがイマイチだ」
と口にする。
私は決してしない。イマイチな企画には、何ひとつ問題はない。イケてないアイデアをどれほど出されても私は呆れたりしない。それどころか、これでもかというぐらいに貪欲にアイデアを私に突き付けてほしい。しかし、無駄な努力は絶対に認めない。
ここで重要なのは、何が「本質」なのか、ということだ。
本質は、当然アイデアの中身だ。アイデアを彩るグラフや図表は、本質でも何でもない。お客様に対して、完成された企画をプレゼンするのならともかく、上司にするのだから口頭でいい。手描きのメモで十分だ。
とにかく、私が嫌うのは、エネルギーの無駄遣いだ。無駄なエネルギーを遣うと部下の意志力が落ちてしまう。限りある意志力の貯蔵庫の中から、意志力が減ってしまうのだ。もちろん時間も失われる。
私たちはコンサルタントであるわけだから、一般企業の経営者や中間管理職の模範でなくてはならない。限られた時間の中で、どのように組織目標を達成させるのか。1秒も無駄にできないし、個人個人が持っているこの意志力も同じ。1ミリも無駄にしてはならないのだ。
冒頭の部長と同じように、自己満足というのは意思力を減らす大敵だ。自己満足はできるかぎり減らそう。
「徹底的に妥協を許さず、積極的に妥協をする」
これが効率的に目標を達成させるコツだ。
今回は、意志力を減らさないためにどうすればいいのか。戦略的な妥協の仕方というテーマで記事を書いた。
人生を妥協しないための妥協の方法である。そして8,000字に迫る大作である。
戦略的に断る技術を身につけることを書いた人に教えたくない「断るテクニック」
強引な説得テクニックを紹介した人に教えたくない「説得テクニック」
とともに読んでもらえると、なおいいと思う。
<目次>
■無駄な努力はすべきではない
■「意志力(ウィルパワー)」を深く知ろう!
■そもそも妥協とは何か?
■よくある組織のこんな事例
■名著「イシューからはじめよ」
■集めすぎない「勇気」を持て!
■ある成功者の金言を、紹介しよう!
■私が日ごろから妥協していること
■これからは妥協の時代だ
■そもそも妥協とは何か?
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