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なぜ残念な新入社員ほど「やりたいことが分からない」「自分の強みを知りたい」と言うのか?

横山信弘経営コラムニスト
Grokにて筆者が画像生成

若い人からキャリアの相談を受けると、「好きなことを仕事にしたい」「得意分野を活かしたい」という言葉をよく耳にする。

しかし好きなことと得意なことは必ずしも一致しない。さらに得意なことと強みも異なる。就職や転職を考える際、これらを混同してしまうと失敗する可能性が高い。

あと、相変わらず多いのが「やりたいことが分からない」と悩む人だ。

そこで今回は、好きなこと、やりたいこと、得意なこと、強みの違いについて解説する。就職・転職を考えている人はもちろん、人材育成に悩む経営者やマネジャーにもぜひ最後まで読んでもらいたい。

■好きなことをやりたいことに変換する方法

残念な新入社員ほど「やりたいことが分からない」「自分の強みを知りたい」と言う。理由は、言葉の違いや考える順番を間違えているからだ。

それでは、好きなこと、やりたいこと、得意なこと、才能や強みの違いについて簡単に解説していきたい。

「やりたいこと」「好きなこと」「得意なこと」「強み」――これらの違いを理解することで、自分自身を深く知ることができる。まずは「好きなこと」から始めるのがわかりやすいだろう。

(1)好きなことは名詞で表現される

「好きなこと」とは、多くの場合、名詞で表現される。たとえば、「野球が好き」「旅行が好き」「ゲームが好き」などが典型例である。しかし「好きなこと」を考えるだけでは、本当にやりたいことや理想の仕事を見つけるのは難しい。

たとえば「野球が好きだから野球に関わる仕事をしたい」と考えた場合、具体的にどのような仕事を目指せばよいのかわからなくなることがある。その理由を解説しよう。

(2)やりたいことは動詞で考える

ここで重要なのは「動詞で考える」ことである。「何をやりたいのか」を明確にするためには、「好きなこと」を動詞に変換する必要がある。たとえば、「野球を見るのが好きなのか」「野球を分析するのが好きなのか」「それを誰かに伝えることが好きなのか」を考えることだ。

自分の例を挙げると、私は野球が好きだが、実際にプレイすることは得意ではないし、好きでもない。もちろん、やりたくない。練習する意欲もない。いっぽう「野球を観戦して分析し、それを誰かに伝えること」は好んで行える。率先してやりたがる。このように動詞で考えると、「やりたいこと」が具体的になるのだ。

■得意なことを強みに変換する

(3)得意なことは才能や経験から来る

次に「得意なこと」について考えてみよう。得意なこととは、他人が苦労することを自分は比較的簡単にできることである。これには生まれ持った才能や過去の経験が影響する。

たとえば、「声がいい」というのは生まれ持った才能である。いっぽう私はスペイン語が得意だが、これは経験から培ったものである。しっかりと勉強し、仕事で活用してきた経験があるからだ。他の人が苦労するスペイン語の習得を、私はある程度スムーズにこなせるため「得意」といえる。

また、「野球を観戦して分析し、それをわかりやすく伝える」という行為も、他人よりも苦労なくできるのであれば「得意なこと」に含まれるだろう。

(4)強みは他者視点での「役に立つこと」

最後に「強み」について考える。「強み」とは、単に得意なことではなく、それが他者に役立つことである。つまり、強みを見つけるには「他者視点」が欠かせない。

たとえば、「声がいい」「スペイン語ができる」といった才能、スキルがあっても、その環境において役立たなければ強みにはならない。ところが「何かを分析し、考察し、それを分かりやすく伝える」ことが得意であり、職場で評価されるのであれば、それは「強み」となる。

■まとめ

強みを正しく理解することは、個人のキャリアにとっても、企業の人材活用にとっても重要だ。好きなことから始めて、やりたいことを明確にし、得意なことを見極め、それを職場で活かせる強みに変換する。このプロセスを意識すれば、より良い選択ができるはずだ。

繰り返すが、「好きなこと」は名詞で表現され、「やりたいこと」は動詞で考え、「得意なこと」は苦労せずできること、そして「強み」は他者にとって役に立つことだ。この区別を意識することからはじめよう。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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