在日米陸軍、関東平野150キロ圏内での外食禁止――1都3県の人口密集地は「立ち入り禁止」
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、在日米陸軍司令部は12月3日から、150キロ圏内の関東平野にある基地外のレストランや食堂、飲食店での外食を禁止する指令を発令した。また、首都圏1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)の人口密集地を「立ち入り禁止」に定めた。
東京都の新型コロナウイルス感染者が連日、新たに500人以上も確認されるなど首都圏で感染が拡大する中、在日米軍が日本政府よりも厳しい対応を取った。日本政府が実施している観光支援策「Go To トラベル」や飲食店支援事業「Go To イート」に逆らう動きとなった。
米連邦職員を含む非軍人も、この指令に従うよう強く奨励されている。この指令に違反した軍人は懲罰対象となる。具体的には、統一軍事裁判法(UCMJ)の対象となり、不利益な処分を受ける。処分には基地などの施設への立ち入り権利の喪失、権利のはく奪、人員削減の対象化、福利厚生権利の喪失、扶養家族の早期帰国が含まれている。
在日米陸軍司令部はキャンプ座間(神奈川県座間市、相模原市)に置かれている。今回の外食禁止の対象となるのは、同司令部から150キロ圏内で、地図上では次のようになる。
また、在日米陸軍のフェイスブックに投稿された指令には、東京、神奈川、千葉、埼玉の人口密集地を「立ち入り禁止」に定めた地図が添付されている。次の地図の赤色部分が「立ち入り禁止」となった。
在日米陸軍は3日、陸軍関係者1人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。また、2日にも沖縄で陸軍の1人が感染したと発表していた。
米軍準機関紙、星条旗新聞によると、この他にも、今週に入って在日米軍は新たに3人の感染者を確認した。内訳は、2日に沖縄の米空軍嘉手納基地の1人、3日に米海兵隊岩国航空基地と米陸軍の各1人の感染をそれぞれ確認していた。
振り返れば、米国は福島第一原発事故時も、2011年3月16日午後(日本時間の17日未明)の早い段階で、日本在住の米国民に対し、福島第一原発から半径50マイル(約80キロ)の退避を決めた。米海軍は空母にしても潜水艦にしてもすべて原子力駆動であり、海軍は放射能に対して厳格に管理し、注視している。ちょっとでも放射能漏れがあれば、乗組員全員が死んでしまう事態になりかねないからだ。
放射能と同じように、米軍は新型コロナといった感染症も危機管理上、厳格に注視している。特に、 今春に米海軍の原子力空母「セオドア・ルーズベルト」で新型コロナの集団感染が起き、大問題になっただけに、今や危機感が一層強い。日本国民は福島第一原発事故時のように、日本政府の情報とは別に、在日米軍の危機管理対策を参考に知っておいて損はないだろう。
(関連記事)
●在日米海兵隊、東北や九州など全国各地の「立ち入り禁止」地域を拡大――菅政権より新型コロナ危機意識高く
●在日米海兵隊、関東や関西、北海道、沖縄など全国各地を「立ち入り禁止」――新型コロナ感染対策を強化
●在韓米軍、ソウルに続いて釜山を「立ち入り禁止」――新型コロナ感染対策を強化