2024年度は残り7機のロケットを打ち上げ予定、H3・観測ロケット・イプシロンS・H2Aを解説
7月1日、H3ロケット3号機の打ち上げが行われ、「だいち4号」の軌道投入に成功しました。今年度は、H3 4号機がXバンド防衛通信衛星、5号機では準天頂衛星「みちびき」の打ち上げが予定されており、H3をあと2回見れることになります。
本記事では、今年度に打ち上げが予定されている、残りの5機のロケットについて解説していきます。
■観測ロケットS-520-34号機(2024年8月11日)
観測ロケットは衛星打上げ用のロケットとは異なり、ロケット自身が宇宙空間を飛びながら落下するまでの間に様々な実験や観測を行なうものです。8月に実施される打ち上げでは、次世代の宇宙推進システムである「デトネーションエンジン」の実証が行われます。
デトネーションエンジンとは、火炎の速度が音速を超える爆発的な燃焼現象「爆轟」を利用しています。通常のロケットは素早く燃焼する「爆発」を利用していますが、「爆轟」になると音速を超える衝撃波を生み出します。この衝撃波を推進力とすることで、小型軽量、かつ既存のエンジンよりも低価格で安く高速飛行をさせることができるのです。
ちなみに、2024年度には観測ロケットがもう一機打ち上げられる予定となっています。まだ日程やペイロードの詳細は明かされていないようです、こちらも楽しみです。
■新型国産ロケット「イプシロンS」
イプシロンSは3段式の固体燃料を搭載した国産基幹ロケットで、初代であるイプシロンロケットの進化系です。
2024年度に打ち上げるのは、ベトナムの地球観測衛星「LOTUSat-1(ロータスサット・ワン)」です。実はこのロータスサットワン、日本企業のNECがベトナムから受注した衛星なのです。ミッションの目的はベトナムの自然災害への監視強化による、被害の抑制や災害予測に貢献することです。衛星に搭載したレーダーにより、昼夜を問わず観測データを取得します。日本の洗練された衛星技術が、このように海外へ今後も広がっていくと嬉しいですね。
■日本の主力大型ロケット「H2A」
H2Aは2024年1月の48号機での打ち上げで、情報収集衛星の軌道投入に成功し、連続42回の打ち上げにも成功しています。打ち上げ成功率の高さはもちろんのこと、H2Aはロケットの機体や地上設備などの技術的なトラブルによる延期が少なく、ロケットをあらかじめ決めた日程の中できっちり打ち上げることができる「オンタイム打ち上げ」率が高いという特長から、海外の衛星も複数回打ち上げを行った実績があります。
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そんなH2Aですが、2024年度に打ち上げられる2基で退役することが決定されています。普段見慣れたH2Aがいなくなってしまうのは寂しいですね。次の打ち上げとなる49号機では、情報収集衛星を打ち上げることが予定されています。そして、H2Aの最期となる50号機では、温室効果ガス・水循環観測技術衛星「GOSAT-GW」を打ち上げ予定です。
H2Aが残りの打ち上げも成功させ有終の美を飾り、無事に退役できるようみんなで見守っていきましょう。
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