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H-IIAロケット打ち上げ成功!情報収集衛星って一体どんな衛星?極秘ミッションの内容とは

過去のH-IIAロケット打ち上げ©JAXA

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本日、H-IIAロケット48号機が遂に打ち上げられました。搭載されているペイロードは、情報収集衛星「光学8号機」です。本日は、2024年度で退役となるH-IIAの活躍や、情報収集衛星が担う極秘ミッションについてもご紹介していきます。

■H-IIAロケット48号機、遂に打ち上げ!!

日本の主力大型ロケットである、本日打ち上げられたH-IIAは、2001年の初飛行から今回で合計48回目の打ち上げとなります。2003年に行われた6号機の打ち上げでは、打ち上げ後に固体ブースターが分離されず、空中で指令破壊となりましたが、連続40機の打ち上げに成功しています。打ち上げ成功率は97.9%を誇っており、世界で最も信頼性の高いロケットのひとつに数えられます。

更に、H-IIAは商業衛星の打ち上げも行っており、今までにはカナダやアラブ首長国連邦、イギリスなど、合計5回の打ち上げを行っています。三菱重工業の関係者の見方によると、打ち上げ成功率の高さはもちろんのこと、H-IIAはロケットの機体や地上設備などの技術的なトラブルによる延期が少なく、ロケットをあらかじめ決めた日程の中できっちり打ち上げることができる「オンタイム打ち上げ」率が高いという特長もあります。

H-IIAロケット47号機 ©JAXA
H-IIAロケット47号機 ©JAXA

そんなH-IIAですが、2024年に打ち上げられる3基で退役することが決定されています。普段見慣れたH-IIAがいなくなってしまうのは寂しいですね。今回の48号機に続き、49号機も情報収集衛星を打ち上げる予定で、H-IIAの最期となる50号機では、温室効果ガス・水循環観測技術衛星「GOSAT-GW」を打ち上げ予定です。

H-IIAが残りの打ち上げも成功させ有終の美を飾り、無事に退役できるようみんなで見守っていきましょう。

温室効果ガス・水循環観測技術衛星「GOSAT-GW」©JAXA
温室効果ガス・水循環観測技術衛星「GOSAT-GW」©JAXA

■情報収集衛星が担う極秘ミッション

それでは、今回H-IIAが打ち上げた、情報収集衛星とは一体どんな衛星なのでしょうか。

時代を遡ると1998年、北朝鮮は何らかの“飛翔体”をほぼ東の方向に発射しました。その一部は日本海に、それ以外は日本の東北地方上空を通過し、三陸沖の太平洋に落下しました。北朝鮮の発表によると、これは人工衛星「光明星1号」の打上げであり、人工衛星は地球の周回軌道に乗り電波を発していると成功を大きく報道しました。

しかし、最近の北朝鮮の情勢を見ている皆さんならご存知かもしれませんが、日本政府はこれを大陸間弾道ミサイル「テポドン1号」の発射実験と判断しています。まず、テポドン発射後に、軌道上に北朝鮮の人工衛星は発見されておらず電波も全く観測されていなかったこと、そしてそもそも、北朝鮮には人工衛星を運用する上で必要となる、大型の受信アンテナやレーダーが地上からは確認できないことです。

これを機に日本では独自に偵察能力を持つことが必要という意見が多数派を占めました。結果として、情報収集衛星の開発が決定されたのです。

■情報収集衛星って一体どんな衛星?

情報収集衛星は、日中の時間帯に高性能のカメラで撮影する「光学衛星」と夜間や悪天候の際に、電波を使って撮影する「レーダー衛星」の2種類で構成されています。

「光学衛星」と「レーダー衛星」をそれぞれ2機ずつ、合計で4機を運用できれば、高度数百キロの上空から地球のあらゆる地点を1日1回以上、撮影できることになります。

こうした「4機体制」を目指し、2003年にはH-IIAロケット5号機により、光学1号機、レーダー1号機が初めて打ち上げられました。当時の解像度は地上約1mであったとされています。これは、建物の種類や車の存在の判別ができる程度と言われています。

しかし、レーダー1号機は電源系のトラブルにより大気圏に突入するなどのトラブルに見舞われます。さらには、その後2003年に光学2号機、レーダー2号機をH-IIAロケット6号機により打ち上げますが、先ほどご紹介した通り、打ち上げ後に固体ブースターが分離されず、空中で指令破壊となってしまいました。

その後も何度か失敗に見舞われますが、何とか2013年に「4機体制」が初めて整うこととなりました。将来的に光学衛星4機、レーダー衛星4機、データ中継衛星2機の計10機体制での運用を目指しているとのことです。これは、「4機体制」だとテロや災害が起きた時に、欲しい画像が入手できるのが翌日になってしまうためです。10機体制ですと、特定の地点を1日に複数回撮影できるようになります。しかし、情報収集衛星の寿命は大体5年程度であるため、常に新しい衛星を打ち上げて体制を更新していく必要があるんですね。

ちなみに、今回打ち上げるレーダー7号機の一つ前である、2018年に打ち上げられたレーダー6号機の性能は、50cm級と言われています。これは、車の種類の区別がどうにかできる程度とのことです。しかし、2014年に施行された特定秘密保護法により、地上のどのくらいの大きさのものを見分けられるかや、撮影された画像、その分析結果などは特定秘密に指定されました。そのため、細かい性能などは謎に包まれている状態となります。

一方、2015年に発生した「関東・東北豪雨」の際には、堤防が決壊して大規模な浸水被害が起きた被災地を撮影し、2枚の画像を公開しています。その後も、白根山の噴火などの自然災害時に画像を公開しています。ただ、衛星の能力がわからないように画質を落とした状態で公開されているとのことです。

最近は世界情勢も緊迫しているため、こういった衛星を利用した情報収集能力は重要になってきますね。今回の打ち上げが成功することを祈っています!

JAXAデジタルアーカイブス

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