SLIM通信再開できず 復旧する可能性は低い見込み、7月以降の運用計画も未定
JAXAはSLIMの電力が回復していると想定される、6月21日夜~27日朝にかけて月面への通信を試みましたが、SLIMからの応答はなかったと発表しました。5月下旬に行った通信でもSLIMから応答がなかったことから、今後にSLIMが復旧する可能性は低いと見られています。
本記事ではSLIMが月着陸に成功してから現在に至るまでの状況について解説していきます。
中国が月の裏側からのサンプルリターンに世界初の成功、嫦娥6号と中国の将来月面開発計画を解説
■SLIM通信再開できず、復旧可能性は低い
JAXAはSLIMの電力が回復していると想定される、6月21日夜~27日朝にかけて月面への通信を試みましたが、SLIMからの応答はなかったとのことです。
SLIMからの通信が再開できない理由は明確にはなっておりません。5月中旬には大規模な太陽フレアが発生していたこともあり、SLIM搭載プログラムが部分的に書き換わっている可能性があると考慮し、様々な手法で通信確立を試みたとのことです。
JAXAによると、今後にSLIMとの通信が復旧する可能性は低いと考えられています。また、今後は太陽電池による発電が難しくなるため、次回の通信の試行予定は未定とのことです。
一方で、SLIMは越夜を想定した設計にはなっていないにも関わらず、日照は約110度、日陰はマイナス170度と過酷な月面環境で3度の越夜に成功しました。そして、目標としていた月面の観測データの取得も全て完了しています。素晴らしい成果を創出したSLIMと、その関係者の皆様、長期にわたる運用本当にお疲れ様です。
■1月20日の月面着陸からSLIMの状況をおさらい
SLIMは1月20日に月面のSHIOLIクレーターへの着陸に挑戦し、見事成功しました。月への着陸したのは日本として初めてであり、世界ではアメリカ、ソ連、中国、インドに続き、5か国目に月着陸を成功させた国となりました。
SLIMは、月面への降下中に二つのメインエンジンの内一つが脱落し、推進力が失われてしまったため、月面着陸後は正常通り太陽電池による発電ができない状況でした。バッテリーを駆動することで地球との通信を行っていましたが、枯渇する前に電源をオフにし探査機を温存することを選択。
その後、月の自転運動により太陽電池へ太陽光が徐々に照射され始め、1月28日に発電が再開されたことが確認されました。更に、搭載していたマルチバンド分光カメラにより、月面岩石の撮影も十分に行うことができました。その後、SLIMは4月までに月面での越夜に合計3回成功しています。
【関連記事】