並んででも食べたい 「土用の丑の日」鰻重5選
2022年の「土用の丑の日」は2回
7月23日は「土用の丑の日」。「土用」とは四季の「四立(立春、立夏、立秋、立冬)」の直前にある雑節のことで、厳密に言えば春にも秋にも存在するが、知名度が高いのはやはり夏の土用の丑の日だろう。ちなみに今年の「土用の丑の日」は7月23日と8月4日の2回ある。
「土用の丑の日」に「鰻」を食べるという食習慣は、今から250年ほど前の江戸時代の安永から天明にかけてと言われているが、古くは日本最古の和歌集『万葉集』にて、大伴家持が「石麻呂に 吾れもの申す 夏痩せに よしといふものぞ 鰻とり食せ」と歌を読んでいるように、夏に栄養価の高い鰻を食するという文化は千年以上前からあったことになる。
シラスウナギの不漁や輸送コストの高騰などで、鰻の価格は高騰しているが、やはり夏に鰻は食べておきたいもの。今回は鰻をこよなく愛する筆者が、個人的に何度もリピートしているお店を厳選した。
富士山の雪解け水にさらす鰻『うなぎ 桜家』(1856年創業)
『うなぎ 桜家』(静岡県三島市広小路町13-2)は、安政3(1856)年創業の老舗。富士の雪解け水である三島の湧水に鰻を数日間さらすことによって、鰻の臭みを取り身を引き締める。備長炭により伝統の技でふんわり香ばしく焼き上げた鰻は、身が厚くてどっしりとした存在感。毎日食べても食べ飽きない、家伝の「かるみ」味を堪能して欲しい。
目の前で割いて焼く鰻『川豊 本店』(1873年創業)
千葉成田山の表参道にある『川豊 本店』(千葉県成田市仲町386)は、明治6(1873)年の創業。登録有形文化財にも認定された一軒家の軒先で、大きなイチョウの一枚板の上で職人が鰻を捌く光景は、成田山表参道の名物となっている。井戸水で活かした鰻は目の前で捌きたて、焼きたてを提供。香ばしく甘めのタレの味わいは白いご飯にピッタリ。
焼きながら揉み叩く鰻『吉塚うなぎ屋』(1873年創業)
福岡中洲の川沿いで行列を作る老舗『吉塚うなぎ屋』(福岡県福岡市博多区中洲2-8-27)の創業は明治6(1873)年。吉塚の地で創業し、戦後に中洲へと移転した。鰻は蒸さずに焼く関西流の「地焼き」だが、鰻を焼きながら揉んで叩くことで鰻から出た脂で焼き上げる独特の「こなし」の技を使う。別皿で出てくるタレにつけて食べるのもこの店ならでは。
文人たちにも愛された鰻『浅羽屋本店』(1907年創業)
鎌倉有数の古刹「長谷寺」の門前に佇む『浅羽屋本店』(神奈川県鎌倉市長谷3-10-31)は、明治40(1907)年創業の三代続く老舗。2008年に真新しい店舗にリニューアルし、天ぷらや和食の会席料理も楽しめるみせに。川端康成をはじめとする文人や著名人たちに愛された鰻は、関東らしく濃いめの力強いタレの味わいでご飯がすすむ。
炊きたてご飯と味わう鰻『大國屋鰻兵衞』(2018年創業)
400年もの歴史を持つ「京の台所」とも呼ばれる「錦市場」の、老舗川魚専門店三代目が齢70にして開いた店が『大國屋鰻兵衞』(京都府京都市中京区菊屋町534)。地焼きの国産鰻のお供は、オリジナルの土釜を使い注文を受けてから炊きあげた「御竈飯(おくどはん)」。鰻にはご飯が合うという真理を見事に体感させてくれる店だ。
「土用の丑の日」には、贅沢をしてでも美味しい鰻を食べたい。今回ご紹介した5軒は、いずれも人気店なので行列は必至。今年の「土用の丑の日」は7月23日と8月4日の2回あるので、ぜひとも暑さ対策を万全にして足を運んで頂きたい。
※写真は筆者によるものです。
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